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ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(197)新出品のアロハシャツ [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

本日は週末なので、恒例の
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けします。

今回も引き続き「新出品のアロハシャツ」をご紹介します。
夏真っ盛りなので、ヴィンテージ・アロハシャツの出品も最高潮といった感じです。


まず最初は、こちら ↓ から。前回ご紹介のものと同じ
「ポリネシアン・スポーツウェア」です。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t1059032104

白と黒が基調(+薄い黄色)のモノトーンのラウハラの木の密林に、
朱色と黄色のヨットが小さく描かれています。
ヨットの感じが、イオラニ・スポーツウェアっぽい印象を受けます
(両ブランドでは絵のタッチが共通するものが多いので、
 同じ絵描きとか、同じ染工所など何らかの関係があるような気がします)。

素材はレーヨン縮緬(前回述べたように、
ポリネシアンで縮緬以外を筆者は見たことがありません)、ボタンは竹ボタン
(これもポリネシアンに共通の素材です)になります。




続いてはこちらです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/1058406408

ホタテ貝などの大きな貝が横に並び、
さらにヒトデや海藻なども横に並んだ、面白い柄です。
ブランドはシスコ社の「デューク・カハナモク」で、
1950年代半ばから後半頃の製品です。
素材はコットン、ボタンは貝ボタンになります。




そしてこちら。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f1057775847

葉っぱのような模様が4つ組み合わされた、
通称「四つ葉タパ」(と勝手に筆者が呼んでいます)と
丸いパイナップルとが、縦に連なって描かれています。

出てくるモチーフは異なりますが、配列が似ている柄が、
1949年前後に多く見られるので、
この柄も同じ頃の製品でしょう。

メーカーは、「ナニ・スポーツウェア社」で、
デザイナーはベティ・ロバートソンという女性でした。
素材はコットン、ボタンは竹ボタンになります。


と、ここで、織ネームに注目しておきます。
こちらのシャツの織ネームは、(繰り返しになりますが)これ ↓ です。

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「ナニ・ホノルル」と書かれています。

一方、ナニの、よく見かける織ネームはこちら ↓ になります。

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(筆者コレクションより)

「ナニ・オブ・ハワイ」です。

些細な違いだと思われるかもしれませんが、
筆者は結構大きな違いだと考えます。

「ナニ・ホノルル」の方が古くて(Rマークがありません)、
1940年代から1950年代初頭のもの、
「ナニ・オブ・ハワイ」の方が新しくて(Rマークがあります)、
1950年代前半から60年代前半までのもの
(ナニ・スポーツウェア社は1964年5月に閉鎖されたことがわかっています)だと
筆者は推測しています。



最後はこちら。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/e1058704534

パイナップルやハイビスカス(と、ヤシの実のお椀でしょうか?)が、
版画調のカクカクした直線的タッチで描かれています。
好き嫌いが分かれそうな不思議な柄です。
織ネームは「メイドインハワイ」となっていて、メーカーは不明です。

素材はコットン、ボタンはグレーの尿素ボタン(ハワイ製では珍しい)となっています。

面白いのはその色使いです。
濃い茶色と薄い黄色を使っているところが、上の「ナニ」と似ています。
ほぼ同じ時代の製品と考えてもいいのではないでしょうか?



今回はこの辺で。
次回をお楽しみに。




(次回に続く)

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ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(196)新出品のアロハシャツ [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

本日は週末なので、恒例の
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けします。

今回は「新出品のアロハシャツ」をご紹介します。


まず最初は、かなりスペシャルな、こちら ↓ から行きましょう。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/1058667796

胸ポケットに、日系人部隊「442連隊」の記章が、
また背中側には、大きなティキと、「フリーダムトーチ」が描かれています。

出品者さんが言うように、確かに専門書にも掲載されておらず、
筆者も古着屋さんなどで見たことはありません。
非常に珍しいものだと思います。

ブランドは「オコレハオ」です。
サンサーフはオコレハオの実名ラベルで、
「ワンプカプカ」(第百大隊)の柄を復刻していますね。
日系人マーク・ヤマナカさんは、日系人部隊と何か関係があるのでしょうか?
(日系人部隊所属だったとか?)
ハワイ島の方は筆者の調査が進んでおらず、詳細は不明です。

素材はレーヨン、ボタンは竹ボタンで、襟の大きさなどから見て
1950年代半ば頃の製品だと推測します。
もう1つ別の「10周年記念柄」かもしれませんね。



続いてはこちらです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p1058626108

花火の柄ですが、なんとも不思議な雰囲気ですね。

街並みは石造りの建物のように見え、欧米風ですし、
橋(なのか桟橋なのか)も欧米風です。
一方、水に浮かぶ屋形船や、日本髪と着物の女性(芸者さんでしょうか?)などもいて、
日本の風景のようにも見えます。

この柄は非常に珍しいと思います。
専門書にも掲載はないと思いますし、古着屋さんなどでも見かけたことはありません。
花火の美しさがよく表れていて、とても良い柄です。

ブランドは「ポリネシアン・スポーツウェア」、
素材はレーヨン縮緬で、ボタンは竹ボタンです。


ちなみにこのポリネシアン・スポーツウェアに関してですが、
残念ながら詳細はわかっていません。
サンサーフは、「ポリネシアン・カジュアルズ社」のブランドだと説明していますが、
筆者はこの両者は別の会社、別のブランドだと考えています。

「ポリネシアン・スポーツウェア」はほとんどレーヨン縮緬しか使っておらず
(それ以外の生地を筆者は見たことがありません)、
それらが日本製のプリント生地であることから、
日系人が経営していたと推測しています。
年代としては、1950年代前半から末頃まででしょうか?

一方のポリネシアン・カジュアルズ社は、
トーマス・ホプキンスという人物(おそらく西洋系)が、
1960年頃から営んでいたメーカーであることがわかっています。
1960年代なのでレーヨン縮緬は使っておらず、
シルクやコットンサテンなどの生地(これも日本製ですが)をよく使っています。

年代的に見て、引き継いだ(買収した)可能性はもちろんありますが、
同じ会社だと考えるのは無理があります。
したがってこの両者は全くの別物だと言えるのではないでしょうか?
(住所も全く違うので、買収した=引き継いだ、と考えるのも違和感があります。)



話が脱線して長くなってしまいましたので
今回はこの辺で。
次回をお楽しみに。




(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その193 1956年 パラダイス~ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(4) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
パラダイス・スポーツウェア株式会社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の第2回で、
今回はその翻訳の最終回となります。


『シリーズ ハワイのファッション産業 第2回 パラダイス
1956年 ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(4)
文/バーバラ・プロック

 サメシマ女史は自身のデザインの中に、
各民族の芸術や文化を最大限使っている。

彼女は日本文化をもっとたくさん学ぶために、
最近日本を旅してきた。

彼女はまた、ポリネシアや中国の芸術作品を、
自身の服のデザインや装飾に自由に当てはめてもいる。

 ハワイ島のパーカー牧場で生まれ育ったハワイの女性
(訳者補足:サメシマ女史のことか?)は、
販売部門からの裏口を使ってデザイン部門に入った。

優秀なセールス・ウーマンとして彼女は顧客の要望をくみ取り、
すぐに新しいアイデアを提案し、それを服に取り入れていたと言った。

 彼女のアイデアは変わることなく良いことを証明しており、
スタイリスト、バイヤー、販売員としての現在の地位に昇進したのである。

 彼女は、新しいハワイアン・ラインを売るのと、
ハワイの工場で使う生地を買うのとで、
年に2度、米国本土へ旅行している。

カルヴァン・チャンがオーナーのパラダイス・スポーツウェア株式会社は、
ハワイの衣料品メーカーの中では比較的新しいが、
急速に重要な地位を占めつつある。』



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今回で最終回なのですが、結局最後まで、
パラダイス・スポーツウェア社の歴史などに関する記述はなく、
また社長(オーナー)のカルヴァン・チャン(中国系ハワイ人でしょうか?)への
インタビュー記事もありませんでした。
ちょっと残念な記事でしたね。

筆者が人名録などで調べたかぎりでは、
この記事が書かれた1956年は、パラダイス社はまだそれほど大きい会社ではなく、
会社の歴史も浅かったため、あまり語りたくなかったのかもしれません。

1954年頃から60年頃までの登記では、
サメシマ女史が副社長、カルヴァン・チャンの妻(と思われる女性)
テルマ・チャンが秘書となっています。
家族とその他少数による小規模経営だったと思われます。



(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その192 1956年 パラダイス~ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(3) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
パラダイス・スポーツウェア株式会社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の第2回です。


『シリーズ ハワイのファッション産業 第2回 パラダイス
1956年 ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(3)
文/バーバラ・プロック

 エヴァーグレーズ・ミニケアのようなシワになりにくい生地や、
ドリップ・ドライ(訳注:洗濯後に絞らずそのまま干すだけでシワが出来ない)
・コットンの使用は、ハワイの全ての衣料品メーカーの間で増えており、
そのことはバイヤーにとっては良いニュースである。

 ハワイの人々は、びっくりさせるほど変わることや、
ハイファッションなラインやシルエットを突然導入することに
抵抗があるように見える。

このような理由から、
新しいコレクションはその前のコレクションにかなりしっかり依存しており、
変化はゆっくり導入される。

 そのようなことは、ハワイの衣料品産業が、
顕著にハワイ的であるスタイル、
他のファッションの最前線からの最新のキーワードにほとんど依存しないスタイルを
発展させてきたという事実をいくらか説明してくれる。

 ティータイマーやポイパウンダーや、もちろんサロンや、
胴部にゴムが入ったサンドレスや、水着---
これらすべてはハワイ調にデザインされているばかりでなく
ハワイにインスパイアされてもいるのである。』



興味深い記述が出てきました。

「エヴァーグレーズ・ミニケアのようなシワになりにくい生地や、
ドリップ・ドライ・コットンの使用は、ハワイの全ての衣料品メーカーの間で増えて」いる
という部分です。


まず「エヴァーグレーズ・ミニケア」というのは生地の商品名のようですが、
どうやら日本製の生地のようです。

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(Etzyの出品物より引用)

https://www.etsy.com/jp/listing/836931908/vintage-50s-polynesian-everglaze?click_key=39ad0c34c80e3138c9b9559839d68b8523457e8c%3A836931908&click_sum=90d883a9&external=1&ga_order=most_relevant&ga_search_type=all&ga_view_type=gallery&ga_search_query=everglaze+minicare&ref=listing_in_grid-1-1


確かにシャツの作りから言って、1950年代後半頃の製品です
(筆者も同じシャツを持っているので、質感やディテールがわかります)。

ただし日本製のシャツ(上のハイビスカス柄も日本製です)で見たことはありますが、
ハワイ製のアロハシャツでこの記載を見たことがありません。
特に記載せず使っていたということなのでしょうか?
ちょっと謎です。


一方、ドリップ・ドライのコットン生地は、
1960年代のシャツによく見られるものです(例えば、こちら ↓ )。

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(古着屋サントラップさんのHPより引用)

http://suntrap-tokyo.com/items/?p=269847


1956年にすでに存在しており、
ハワイのメーカーも使い始めていた、というのは少し意外でした。
こちらも、ハワイ製のアロハシャツで記載されているのを見たことがありません。
大きな特徴なので記載すると思うのですが・・・。
これも謎ですね。



(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その191 1956年 パラダイス~ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(2) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
パラダイス・スポーツウェア株式会社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の第2回です。


『シリーズ ハワイのファッション産業 第2回 パラダイス
1956年 ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(2)
文/バーバラ・プロック

 ハワイの女性たちはゆったりしたスカートをおおむね好むのであるが、
その唯一の例外(訳者補足:ゆったりしていないのに彼女たちが好むもの)は、
「ハワイアン・シースドレス」、すなわちサロンである。

あのクラシック・スタイルは行ったり来たりする
(訳者補足:流行ったり廃れたりを繰り返す)とデザイナーは言った。

改良されたラインとカッティングのおかげで、
お尻の下側のカップ形状をなくすことが出来たので、
おそらく流行は続くであろう。

 パラダイス社からの最新作品の中で、
それ以外の特筆すべきファッション・トレンドは、
強く鮮やかな色、今季、特に良いのが黄色と金色の組み合わせであり、
またハワイアン・スポーツウェアの地色としての白色の重要性の高まりである。』



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赤、グレー、青のピカソ・プリントは、このサンドレスと相性が良い。
パラダイス・スポーツウェア株式会社によってデザインされたもの。



女性物のスカートの話が続いていて少々退屈ですが、
最後の部分で、少し興味深い情報が出てきます。

1956年のトピックとして、
「強く鮮やかな色」、特に「黄色と金色の組み合わせ」と、
「ハワイアン・スポーツウェアの地色としての白色」が挙げられているのです。

これが、女性物だけの話なのか男性物も含めた話なのかは不明ですし、
さらにはパラダイス社だけの傾向なのか、他社も含めた傾向なのかも不明ですが、
今度、ヴィンテージ・アロハシャツを見る際には、
このような色の傾向に注意しておきたいと思います。


そういえば、このシリーズ企画の第1回で「カハナ社」を取り上げた記事の中で、
「メタリック色(金色や銀色)がプリントの中に使われている」
という特徴が述べられていました。

https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/archive/20220722

「パラダイス社」でも金色が特徴的な色として挙げられているところから言っても
「金色プリント」は1956年の重要なトピックと見ていいのではないでしょうか?



(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その190 1956年 パラダイス~ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(1) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
パラダイス・スポーツウェア株式会社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の1本です。



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(筆者コレクションより)


『シリーズ ハワイのファッション産業 第2回 パラダイス
1956年 ハワイの人はシースドレスよりもゆったりしたスカートを好む(1)
文/バーバラ・プロック

編集者注:これは、ハワイのファッションに関して、
女性欄に掲載されるシリーズ記事の第2回である。

そこでは、ハワイ衣料品メーカー組合に属する会社のデザインに焦点を当てる。

今回の話題はパラダイス・スポーツウェア株式会社についてである。


 ファッションの専門家によれば、今年はシースドレスの年だそうであるが、
バイイングをする女性によれば、彼女は依然として、
ゆったりしたスカートを買い付けているそうである。

 少なくともここハワイ諸島では、それは正しい。

というのもハワイ諸島の女性のバイヤーたちは、
パリからの最新コレクションのあとに付いて行く強力な広告宣伝全てに
著しく耐性があることを証明してきたからである。

 パラダイス・スポーツウェア株式会社のスタイリスト、
ヨシエ・サメシマの言葉もそのようなものである。

ゆったりしたスカートのフロック(ワンピース・ドレス)は、
鉛筆のようにスリムなスカートよりも、年がら年中、はるかに多く売れる。

そのことは、アメリカ人女性の平均的な体形を考えるなら、きっと良いことである。

そして今年は例外はない。

 より優雅な生地、より女性的な生地を好むのは、
おそらくハワイ人が旅を愛するからである。

たとえどんなに体形がスリムでも、
まっすぐでタイトなスカートを穿いて、
船や飛行機の急な階段を上ったり、
車の狭い場所で何時間か過ごしたりするとき、
タイトなスカートほどイライラするものはないのである。』



今回も、女性物の話が中心ですが、
パラダイス・スポーツウェアというメーカーに関する新しい情報が
なにか出てくるかもしれませんので、
最後までお付き合いください。



(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その189 1956年 カハナ~娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(4) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
カハナ・マニュファクチャリング社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の1本です。



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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m1051237317
(ヤフオク出品物より引用)



『シリーズ ハワイのファッション産業 第1回 カハナ
1956年 娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(4)
文/ベツィ・ホブス

 カハナのブランド名は鉛筆形のスリムなシース・ドレスでも見られる。

ちなみにそのドレスは、無地のラスティーナ・ファブリックに、
中国襟と、対照的な飾りボタンやふち飾りが付けられている。

そして裾に伝統的なスリットが入っている。

そのデザインは最近再びティータイマーに使われているものであるが、
そのティータイマーには紺と白とチャコールグレーとピンクが使われている。

 オリヴァー夫妻には鑑識眼のある若い観客、つまり3人の娘がいるので、
寸法をおろそかにはしない。

帯の付いたチャイナムーがあるのであるが、
ヴァレリーは大いなる落ち着きをもってそれを着ている。

スフ(訳注:レーヨン短繊維)のキモノもまた、気持ちの若い人向きである。

 若い女性やその母親向けの、お揃いの水着や遊び着もある。

またパパだって忘れられてはいない。

お揃いの男性用アロハシャツがあるから。

アロハシャツは、そこでこそオリヴァー氏が
デザイナーとして輝く場所なのだと、
彼のパートナーであるオリヴァー夫人は言う。』


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ヴァレリー・オリヴァーが帯付きのチャイナムーを着て見せる。
カハナ・マニュファクチャリング社のデザイン。


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この優雅な中国式ローブは、本土市場に向けられたものであるが、
コーラルピンクと白で見せている。


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少女と若いご婦人向けのクーリー・パンツと上着のスーツは、
本土のアイ・マグニンの店舗で展示されている。
左はペネロペ・オリヴァーで、
彼女は両親がデザインした服を着て見せている。



記事の最後の部分で、アロハシャツの話がわずかに出てきます。
夫のオリヴァー氏が男性用アロハシャツのデザインをしているとのことです。


ちなみに、筆者も1つ、カハナの女性物シャツを持っています。
こちらです。

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(筆者コレクションより)

記事の中に出てくる、「中国襟」(スタンドカラー)と
「飾りボタン」と「ふち飾り」という特徴を備えています。
ただし生地は「無地のラスティーナ・ファブリック」ではなく、
「ひまわりのような花と、イモの葉の柄の、コットン生地」ですが。
共通のイメージで、近い時代に作られた製品だと思われます
(中国的なデザインがお好きなのでしょうかね?)。


カハナ・マニュファクチャリング社の紹介記事の翻訳は今回で終わりとなります。



(次回に続く)

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ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(195)新出品のアロハシャツ [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

本日は週末なので、恒例の
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けします。

今回も引き続き「新出品のアロハシャツ」をご紹介します。


まず最初はこちら ↓ からです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w1058501570

ヤシの木に登る青年の柄、「ココナッツ・トゥリー・クライマー」です。
専門書には必ず掲載される、ピクチャーパターンの有名柄で、
サンサーフなども復刻していますね。

ブランドは「キャンパス」です。
素材はレーヨン、プリントはオーバープリント、
ボタンは(以前もご紹介した、キャンパス独自の)
ココナッツ風プラスチックボタンになります。



同じ柄の色違いをもう1つ。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/x1058464647

ブランドも同じ「キャンパス」です。
古着屋さんでも時々見かける柄ですが、ありふれた柄では決してないので、
ヤフオクで同時に出品されているというのはかなり珍しいことだと思います。

ボタンはココナッツボタンが付いていますが、
オリジナルなのかは不明です。



続いてはこちらです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g1058503429

こちらも、バックパネルの中の有名柄です。
ブランドは「マクレガー」ですが、
洋書『THE ALOHA SHIRT』P198には、全く同じ柄で「カタリナ」のものが
掲載されています。メーカーはいくつかあったのかもしれません。

サイドスリットが設けられており、しかもボタン付きという凝った造り
(カタリナのものも同じ造りです)で、
1940年代くらいの古いデザインだと思われます。
素材も、レーヨンですが、かなり厚手で重みのあるタイプ
(洋書『THE ALOHA SHIRT』では「シャークスキン」と表記)です。
これも40年代的と言えるでしょう。

ボタンは貝ボタンです。



さいごはこちらをご紹介します。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g1058498250

荒波と洞門の柄です。
ブランドは「パリハワイアンスタイル」になります。


先日、第193回で、同じ柄の色違い ↓ をご紹介しました。

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ブランドはパリの兄弟ブランド「カイマナハワイアンスタイル」でしたね。

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その際説明しましたが、ハワイ島にある「オノメア・アーチ」という洞門が
描かれています。

素材はレーヨン、ボタンは竹ボタンというところも共通しています。



今回はこの辺で。
次回をお楽しみに。



(次回に続く)

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ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(194)新出品のアロハシャツ [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

本日は週末なので、恒例の
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けします。

今回は「新出品のアロハシャツ」をご紹介します。


最初はこちら ↓ から行きましょう。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/o1058416670

富士山や大文字山(正式には如意ヶ嶽というそうです)、塔や鳥居などの風景と
「かわさき」「京と」などの地名となぜか「まり子」という人名、
そして駕籠に乗る人や木舟に乗る人、二人連れで歩く人など、
おそらく「江戸時代の旅」をテーマに描かれています。
面白い柄ですね。

織ネームが欠損していてブランドは不明です。
素材はレーヨン、プリントはオーバープリント、ボタンは白のプラスチックボタンで、
ポケットは両胸、しかもフラップ付きというところが特徴的です。
日本製のもののような気がします。



続いては、まもなく終了となりますが、こちらです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h1057686655

エンジ地に、もみじのような黄色の葉と、緑と白の小さな葉が描かれています。
ハイビスカスなどのようなハワイらしい植物ではないので、
厳密にはアロハシャツとは言えませんが、
逆に最近よく見かける「リーフ柄」や「ボタニカル柄」のプリントシャツに近いので
案外イマっぽいと言えるのかもしれません。
エンジ色という地色も落ち着いていて好印象です。

織ネームは「メイドインカリフォルニア」で、
素材はレーヨン、プリントは抜染、ボタンは黒の尿素ボタンです。



そして先週、第191回でご紹介したもの(ブランドはジム・クリントン) ↓ 

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f1057517292

と同じ柄ですが、こちらです。

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d1057954134

濃紺地に、X字状の竹と、その葉の柄です。
織ネームは「メイドインカリフォルニア」で、
素材はレーヨン、プリントは抜染、ボタンは黒の尿素ボタンです。

それほどありふれた柄ではないのに
全く同じ柄(しかも配色も同じ)が出品されるというのもなかなか珍しいと思います。

ジム・クリントンよりは(現時点ではまだ)お手頃価格なので、
サイズが合えば入札に参加してみてはいかがでしょうか?



今回はこの辺で。
次回をお楽しみに。




(次回に続く)

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ハワイの新聞記事から その188 1956年 カハナ~娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(3) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
カハナ・マニュファクチャリング社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の1本です。



Kahana.jpg

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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m1051237317
(ヤフオク出品物より引用)



『シリーズ ハワイのファッション産業 第1回 カハナ
1956年 娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(3)
文/ベツィ・ホブス

 彼らが使う生地のほとんどは日本から来ている。

生地の中には自社デザインのものもある。

工場は現在、オリヴァー夫人がプリント・デザインした生地、
彼女はそれを金の竹の柄と呼ぶのであるが、
そのコットンサテンのスカートを製作中である。

ここでは、メタリック色の竹とコーラル・ハイビスカス(フウリンブッソウゲ)と
日本の提灯とがプリントされた生地の中で、
東洋とハワイのモチーフが優雅に組み合わされている。

そのプリント生地はカクテル・スカートへと作られ、
アボカド色またはサンゴ色のブラウスと一緒に着られるのである。

 黒い蘭の柄もオリヴァー夫人独自のプリント・デザインで、
ラインストーンを散らしたスワールスカート
(訳注:渦巻くような形のスカート)として登場する。』



女性物の服の話が中心ですが、
プリントに関する記述は、男性物のアロハシャツにも共通する話でしょう。

要約すると
・プリント生地のほとんどは日本産である
 (米国本土やハワイのプリント生地はほとんど使っていない)
・オリヴァー夫人がプリントのデザインをしたものもある
 (が、ほとんどは日本の画家が描いた柄である)
・東洋とハワイのモチーフが融合した柄である
 (メタリック色の竹とフウリンブッソウゲと提灯の柄)
・生地はコットンサテンである
・メタリック色(金色や銀色)がプリントの中に使われている
といった特徴が挙げられています。

この記事が書かれた「1956年のプリント事情や流行」を知るうえで貴重な情報です。

例えばコットンサテンという生地は、
これまで「1960年代に多く見られる生地」だとされてきましたが、
早くも1956年に使われ始めているのです。

またこの頃「東洋とハワイのモチーフが融合した柄」が
流行していた可能性があります。

普通、モチーフとしての東洋(=和柄)とハワイ(=洋柄)とは
きっちり分かれていて、どちらかが選ばれるものなのですが、
まれに「チャンポンなモチーフ」を見かけることがあります。
例えば、こんな柄 ↓ です。

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(筆者コレクションより)

日本的な「掛け軸」の柄なのに、
そこに描かれているのは「キヒキヒ」や「アンスリウム」なのです。
普通なモチーフに飽きて、ちょっと趣向を変えてみたという意図が感じられます。
このような柄は、1956年前後に好んで描かれたのかもしれません。


また、「メタリック色(金色や銀色)」が使われるのもごく一時期であり、
ときどきそのようなプリントを見かけます。

例えば、上の同じシャツは金色のプリントを使っています。

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色が剥げて緑っぽくなっている部分がそれです。

おそらく、技術的に難しかった金色や銀色のプリントが、ある時可能になり、
物珍しさもあって一時期流行したのでしょう。
そのような流行が起こったのがちょうど1956年前後だったのかもしれません。
上のシャツは、「和洋折衷モチーフ」と「メタリック・プリント」の両方を備えた、
まさに1956年らしい製品なのかもしれません。


上の短い記述から、筆者はこのようなことを推測しました。



(次回に続く)

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