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何を見てもアロハシャツを思い出す~昆虫採集とヴィンテージ・アロハシャツ [何を見てもアロハシャツを思い出す]

本日は週末なので、翻訳の方はお休みです。
週末恒例の「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」を
お届けしようかとも思いましたが、
それもお休みして、
つれづれなるままに、
最近感じたことを書き記そうと思います。


何を見てもアロハシャツを思い出す・・・。


少し前に、雑誌『Brutus No. 967』(8月1日発売)を読みました。
「棚は、生きざま」という特集の号で、
いろんな人の棚が紹介されていました。

いろんな人の棚の写真は見ていて面白かったですし、
それぞれの、棚にまつわる話も興味深いものでした。

その中で、なぜか、解剖学者の養老孟司先生の話に、
激しく反応してしまいました。

ご存じの方も多いと思いますが、
先生は昆虫採集を趣味としており、
その標本を収める棚が紹介されていました。

そして、棚の話はいつしか、
昆虫採集や、昆虫そのものの話に広がっていました。

ちょっと長くなりますが、先生の、主な言葉を引用しておきます。

「80年見続けてもまだ知らない虫がいる」

「たくさんの数を見続けていると、
 わずかな形や種の差異もわかるようになる」

「虫の魅力は多様性。気が遠くなるほど種類が多くても、
 すべてが似て非なる存在です。」

「標本作りは、ろくでもない虫の存在を
 世に知ってもらう手段。」

「1頭ずつ標本にしてラベルを付けて分類することで、
 誰も見向きもしなかった虫に形が与えられ、
 虫が生きるんです。
 世の中には標本にしなくちゃいけない虫が
 果てしなく溜まってる。」


筆者は昆虫採集を、子供の頃にしかしたことがありませんし、
その行為に、それほど魅力を感じません
(もちろん、魅力があることは理解できますが・・・)。

しかし先生の一連の発言を読んでいるうちに、
それは「ヴィンテージ・アロハシャツ」について
語っているとしか思えない、不思議な感覚にとらわれました。

「昆虫=ヴィンテージ・アロハシャツ」であり、
「昆虫採集=ヴィンテージ・アロハシャツ採集」であると
痛感したのです。


「20年以上見続けてもまだ知らないヴィンテージ・アロハがある」

「たくさんの数を見続けていると、
 柄の、わずかな色やデザインの差異、
 ディテールの差異もわかるようになる」

「ヴィンテージ・アロハシャツの魅力は多様性。
 気が遠くなるほど種類が多くても、
 すべてが似て非なる存在です。」

「画像ファイル作りは、ろくでもない
 ヴィンテージ・アロハシャツの存在を
 世に知ってもらう手段。」

「1着ずつ画像にして
 ブランド名と特徴を付けて分類することで、
 誰も見向きもしなかった
 ヴィンテージ・アロハシャツに形が与えられ、
 ヴィンテージ・アロハシャツが生きるんです。
 世の中には画像ファイルにしなくちゃいけない
 ヴィンテージ・アロハシャツが
 果てしなく溜まってる。」

どれも、筆者の実感にぴったりフィットする言葉です。

筆者は、ヴィンテージ・アロハシャツを、
年代やブランドや値段で優劣をつけずに、
できるだけフラットに見るようにしています。

そうすると、「ろくでもない」(=着たいとは思わないような)
ヴィンテージ・アロハシャツもいとおしくなってくるのです。

まさに「ヴィンテージ・アロハシャツの魅力は多様性」なのです。

だから、見たことのない柄に出会うと
(それがヘンな柄でも)テンションが上がります。


以前に一度ご紹介したことがありますが、
例えば、こちら ↓ 

s-PICT0153.jpg

(筆者コレクションより)

などは、全然アロハシャツっぽくありませんし、
色も柄もあまり魅力的(着てカッコイイ)ではありませんが、
なぜか惹かれてしまうのです
(筆者の好きなシャヒーンズの製品ですが、
 このヘンさがシャヒーンズの魅力だと思っています)。


また、こちら ↓ 

Shaheen's of HONOLULU.jpg

(筆者コレクションより)

も、日本人だったら、あまり着たいとは思いませんよね。
「お茶碗と箸」の柄ですよ!
でも、標本にはしたい(コレクションに加えたい)のです
(これもシャヒーンズの製品です)。


1970~80年代まで含めるなら
(ヴィンテージ・)アロハシャツは無限に出てくるので
切りがありません。
本当に困ってしまいます・・・。



Brutus No. 967.jpg

Brutus No. 967

棚は、生きざま

https://magazineworld.jp/brutus/brutus-967/




(次回に続く)

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「ブダペスト国立工芸美術館名品展」を見て、またアロハシャツを思い出しました(2) [何を見てもアロハシャツを思い出す]

前回のブログで、
パナソニック汐留美術館で現在開催中の
「ブダペスト国立工芸美術館名品展」のお話をしました。
今回はその続きです。

見ていて、ついヴィンテージ・アロハシャツを思い浮かべてしまう作品が、
ほかにもありました。

それがこちらです。

網にかかった魚文鉢.jpg

https://art-museum.fcs.ed.jp/blogs/blog_entries/view/419/32957e06cb54a30cc11c075450f71b09?frame_id=475
(福島県立美術館のブログより引用)

「スウェーデンのエドワルド・ハルド」がデザインし、
「オレフォスガラス工場」が1924年に製造したもので、
《網にかかった魚文鉢》という作品名が付けられています。


これを見て思い出したヴィンテージ・アロハシャツがこちらです。

メイドインハワイ.jpg

(筆者コレクションより)

織ネームは「メイドインハワイ」となっており、
ブランドやメーカーは不明です。
1950年代前半頃の、カメハメハ製といったところでしょうか?
素材はコットンで、ボタンは竹ボタンです。

魚の部分を拡大してみると、こんな感じです。

網に魚.jpg

ヴィンテージ・アロハシャツには魚の柄が非常に多く、
「魚と網」というモチーフもたびたび見られます。
その中でも、網を全面に敷き詰め、そこに魚を配したこのシャツは、
特に類似性が高いと、筆者には感じられました。


もう1つ、こちらはそれほど類似していないようにも思えますが、
「全体的なニュアンスが似ている」ように感じられた作品がありました。

蔓花図フリーズタイル-建築用陶器.jpg

https://art-museum.fcs.ed.jp/blogs/blog_entries/view/419/3f539166ca6f4b50b37a6eeda2019ee9?frame_id=475

(福島県立美術館のブログより引用)

前回ご紹介した「水中図」のタイルと同様のタイルです。

ヤーノシュ・バッハという人がデザインし、
ハンガリーのジョルナイ陶磁器製造所が製造した
《蔓花図フリーズタイル-建築用陶器》(1911年)です。

ツルと花というモチーフは、
古代ペルシアあたりからありそうな伝統的なモチーフかもしれませんが、
筆者はつい「パレオ柄」と呼ばれる柄を思い出してしまうのです。

あまり似ていないかもしれませんが、例えばこちら

BJ's.jpg

BJ's2.jpg

(筆者コレクションより)

や、こちら

paradise.jpg

paradise 2.jpg

(筆者コレクションより)

あたりのアロハシャツを思い浮かべたのです。


ヴィンテージ・アロハシャツのデザインにも、
アールヌーボー的な要素が盛り込まれているのかもしれませんね。


次回からは新しい翻訳を始めます。
お楽しみに。



(次回に続く)

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「ブダペスト国立工芸美術館名品展」を見て、またアロハシャツを思い出しました [何を見てもアロハシャツを思い出す]

パナソニック汐留美術館で現在開催中の
「ブダペスト国立工芸美術館名品展」を見てきました。

この展覧会は
「ブダペスト国立工芸美術館(ハンガリー)の
 19世紀末葉から20世紀初頭までのコレクション約200点を通じて、
 日本美術がどのようにして西洋に影響を与えたのかを、
 ジャポニスムとアール・ヌーヴォーをテーマに展観する。」
というものです。

詳しくは、こちら
https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/21/211009/
をご覧ください。

一見、アロハシャツとは何の関係もなさそうな展覧会ですが
(もちろんほとんどの人は思い浮かべもしないでしょうが)、
筆者は「何を見てもアロハシャツを思い出す」人間ですから、
ついヴィンテージ・アロハシャツを思い浮かべてしまいました。

まず、
「菊花に蝶文皿」ジョゼフ=テオドール・デック 1877~1878年
という作品です。

「菊花に蝶文皿」ジョゼフ=テオドール・デック 1877~1878年.jpg

これを見たときに、こちら ↓ のアロハシャツを思い出しました。

DSCN4082.jpg

s-DSCN4085 (2).jpg

(筆者コレクションより)

比較的新しい、1970年代頃の製品で、
「シアーズハワイアンファッション」の織ネームが付いていますが、
「サーフライン」あたりが作っていたと思われる、
厚手のコットン地の、リバースプリントのアロハシャツです。

紫と青の菊の花と、緑の葉の組み合わせが「似ている」と思わせたのです。
改めて見比べてみると、それほど似ていないのかもしれませんが・・・。



また会場ではもう1つ、
G.ニコレ、ビゴ社製《水中図フリーズタイル》(1898-1900年)
というタイルが目を引きました。

水中図フリーズタイル.jpg

https://art-museum.fcs.ed.jp/blogs/blog_entries/view/419/3f539166ca6f4b50b37a6eeda2019ee9?frame_id=475
(福島県立美術館のブログより引用)

このタイルは、
「1900年パリ万博でお披露目された建築用陶器群、
 いわゆるビゴ・パビリオンの建築装飾の一部」で、
「建築家ジュール・ラヴィロットが設計・建設し、陶器群はビゴ社が製造」し、
「博覧会でグランプリを受賞した後、
 ブダペスト国立工芸美術館館長によって買い上げられ、
 ブダペストに移送され」たものだそうです。

「海藻に囲まれて魚が泳いでいる」というモチーフは、
「アンダーシー」とか「アンダーウォーター」と呼ばれる種類の、
多くのアロハシャツに使われています。

これとそっくりの柄のヴィンテージ・アロハシャツを、
いますぐに出すことができませんが(ごめんなさい)、
ともかく、よく見かけるモチーフであることは確かです。

このようなモチーフが「1900年前後」にタイルになっていたというのは、
知らなかったので、新鮮な驚きでした
(実際にはもっと古いモチーフなのかもしれませんが・・・)。


こうして見ると、ヴィンテージ・アロハシャツのモチーフって、
意外といろいろなところから「拝借」してきているということが、
よくわかりますね。


(次回に続く)

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