ハワイの新聞記事から その188 1956年 カハナ~娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(3) [ハワイの新聞記事から]
筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。
現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
カハナ・マニュファクチャリング社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の1本です。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m1051237317
(ヤフオク出品物より引用)
『シリーズ ハワイのファッション産業 第1回 カハナ
1956年 娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(3)
文/ベツィ・ホブス
彼らが使う生地のほとんどは日本から来ている。
生地の中には自社デザインのものもある。
工場は現在、オリヴァー夫人がプリント・デザインした生地、
彼女はそれを金の竹の柄と呼ぶのであるが、
そのコットンサテンのスカートを製作中である。
ここでは、メタリック色の竹とコーラル・ハイビスカス(フウリンブッソウゲ)と
日本の提灯とがプリントされた生地の中で、
東洋とハワイのモチーフが優雅に組み合わされている。
そのプリント生地はカクテル・スカートへと作られ、
アボカド色またはサンゴ色のブラウスと一緒に着られるのである。
黒い蘭の柄もオリヴァー夫人独自のプリント・デザインで、
ラインストーンを散らしたスワールスカート
(訳注:渦巻くような形のスカート)として登場する。』
女性物の服の話が中心ですが、
プリントに関する記述は、男性物のアロハシャツにも共通する話でしょう。
要約すると
・プリント生地のほとんどは日本産である
(米国本土やハワイのプリント生地はほとんど使っていない)
・オリヴァー夫人がプリントのデザインをしたものもある
(が、ほとんどは日本の画家が描いた柄である)
・東洋とハワイのモチーフが融合した柄である
(メタリック色の竹とフウリンブッソウゲと提灯の柄)
・生地はコットンサテンである
・メタリック色(金色や銀色)がプリントの中に使われている
といった特徴が挙げられています。
この記事が書かれた「1956年のプリント事情や流行」を知るうえで貴重な情報です。
例えばコットンサテンという生地は、
これまで「1960年代に多く見られる生地」だとされてきましたが、
早くも1956年に使われ始めているのです。
またこの頃「東洋とハワイのモチーフが融合した柄」が
流行していた可能性があります。
普通、モチーフとしての東洋(=和柄)とハワイ(=洋柄)とは
きっちり分かれていて、どちらかが選ばれるものなのですが、
まれに「チャンポンなモチーフ」を見かけることがあります。
例えば、こんな柄 ↓ です。
(筆者コレクションより)
日本的な「掛け軸」の柄なのに、
そこに描かれているのは「キヒキヒ」や「アンスリウム」なのです。
普通なモチーフに飽きて、ちょっと趣向を変えてみたという意図が感じられます。
このような柄は、1956年前後に好んで描かれたのかもしれません。
また、「メタリック色(金色や銀色)」が使われるのもごく一時期であり、
ときどきそのようなプリントを見かけます。
例えば、上の同じシャツは金色のプリントを使っています。
色が剥げて緑っぽくなっている部分がそれです。
おそらく、技術的に難しかった金色や銀色のプリントが、ある時可能になり、
物珍しさもあって一時期流行したのでしょう。
そのような流行が起こったのがちょうど1956年前後だったのかもしれません。
上のシャツは、「和洋折衷モチーフ」と「メタリック・プリント」の両方を備えた、
まさに1956年らしい製品なのかもしれません。
上の短い記述から、筆者はこのようなことを推測しました。
(次回に続く)
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。
現在は、1956年のホノルル・アドヴァタイザー紙に掲載された、
カハナ・マニュファクチャリング社に関する記事を翻訳しています。
これは「ハワイのファッション産業」を紹介したシリーズ記事の1本です。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m1051237317
(ヤフオク出品物より引用)
『シリーズ ハワイのファッション産業 第1回 カハナ
1956年 娘たちがオリヴァーのデザインに影響を与える(3)
文/ベツィ・ホブス
彼らが使う生地のほとんどは日本から来ている。
生地の中には自社デザインのものもある。
工場は現在、オリヴァー夫人がプリント・デザインした生地、
彼女はそれを金の竹の柄と呼ぶのであるが、
そのコットンサテンのスカートを製作中である。
ここでは、メタリック色の竹とコーラル・ハイビスカス(フウリンブッソウゲ)と
日本の提灯とがプリントされた生地の中で、
東洋とハワイのモチーフが優雅に組み合わされている。
そのプリント生地はカクテル・スカートへと作られ、
アボカド色またはサンゴ色のブラウスと一緒に着られるのである。
黒い蘭の柄もオリヴァー夫人独自のプリント・デザインで、
ラインストーンを散らしたスワールスカート
(訳注:渦巻くような形のスカート)として登場する。』
女性物の服の話が中心ですが、
プリントに関する記述は、男性物のアロハシャツにも共通する話でしょう。
要約すると
・プリント生地のほとんどは日本産である
(米国本土やハワイのプリント生地はほとんど使っていない)
・オリヴァー夫人がプリントのデザインをしたものもある
(が、ほとんどは日本の画家が描いた柄である)
・東洋とハワイのモチーフが融合した柄である
(メタリック色の竹とフウリンブッソウゲと提灯の柄)
・生地はコットンサテンである
・メタリック色(金色や銀色)がプリントの中に使われている
といった特徴が挙げられています。
この記事が書かれた「1956年のプリント事情や流行」を知るうえで貴重な情報です。
例えばコットンサテンという生地は、
これまで「1960年代に多く見られる生地」だとされてきましたが、
早くも1956年に使われ始めているのです。
またこの頃「東洋とハワイのモチーフが融合した柄」が
流行していた可能性があります。
普通、モチーフとしての東洋(=和柄)とハワイ(=洋柄)とは
きっちり分かれていて、どちらかが選ばれるものなのですが、
まれに「チャンポンなモチーフ」を見かけることがあります。
例えば、こんな柄 ↓ です。
(筆者コレクションより)
日本的な「掛け軸」の柄なのに、
そこに描かれているのは「キヒキヒ」や「アンスリウム」なのです。
普通なモチーフに飽きて、ちょっと趣向を変えてみたという意図が感じられます。
このような柄は、1956年前後に好んで描かれたのかもしれません。
また、「メタリック色(金色や銀色)」が使われるのもごく一時期であり、
ときどきそのようなプリントを見かけます。
例えば、上の同じシャツは金色のプリントを使っています。
色が剥げて緑っぽくなっている部分がそれです。
おそらく、技術的に難しかった金色や銀色のプリントが、ある時可能になり、
物珍しさもあって一時期流行したのでしょう。
そのような流行が起こったのがちょうど1956年前後だったのかもしれません。
上のシャツは、「和洋折衷モチーフ」と「メタリック・プリント」の両方を備えた、
まさに1956年らしい製品なのかもしれません。
上の短い記述から、筆者はこのようなことを推測しました。
(次回に続く)
2022-07-22 23:17
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