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黒澤明監督の映画「天国と地獄」で木村功が着ていたアロハシャツ [映画やテレビで見かけたアロハシャツ]

ファンダバーク教授の本『ハワイの衣料品製造業の歴史』の翻訳は、
「布地の種類」についてまとめた部分がちょうど終わってきりがいいので、
今回は翻訳ではないシリーズをお届けします。

久しぶりの「映画やテレビで見かけたアロハシャツ」です。

と言っても、前回のブログ

https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/2021-02-04

で、1960年代半ば頃の「コットンサテンのパレオ柄」をご紹介したので、
それとも関係するものをご紹介したいと思います。

以前、このブログで、
黒澤明監督の「酔いどれ天使」のアロハシャツをご紹介しました。
こちら ↓ 。

https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/2020-11-23

黒澤監督はアロハシャツがお好きだったのでしょうか?
あるいは、アロハシャツは時代を反映する服だとお考えだったのでしょうか?
理由はよくわかりませんが、ほかの黒澤作品にもアロハシャツが登場します。

それが今回ご紹介する「天国と地獄」です。

この映画の公開が1963年(昭和38年)3月だそうですから、
撮影は前年の1962年と考えられ、
そうすると出てくるアロハシャツも1962年(もしくはそれ以前)に作られたものと
考えてよいでしょう。

この映画の中で、容疑者を尾行する刑事たちが
いろいろなアロハシャツ(やプリントシャツ)を着ているのですが、
病院で張り込みをするシーンで、木村功がパレオ柄のアロハシャツを着ています。

DSCN9826.JPG

s-DSCN9828.jpg

この柄、どこかで見覚えはありませんか?
以前、このブログでご紹介した
https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/archive/20210127
アルフレッド・シャヒーンのパレオ柄ではありませんか?

s-DSCN5888.jpg

「花の蕾のようなもの」と「羽を広げた鳥の横顔のようなもの」が
どちらにも確認できますね。

ところが、です。よく見比べると、
「6枚葉」(正確には花弁?)の部分が、シャヒーンのシャツにはありません。
この部分 ↓ です。

天国と地獄 アロハシャツ.jpg

そう思ってさらに見比べると、
「花の蕾のようなもの」の大きさも違いますね。

とても似ていますが、違うもののようです。

そう思ってあきらめていたところ、見つけました!
このアロハシャツと同じものがありました!
それが、こちら ↓ です。

s-DSCN2772.jpg

(筆者コレクションより)

ブランドは、「パラダイス・ハワイ」です。

DSCN2782.JPG

素材はコットン・サテンで、まさにこの時代のパレオ柄ですね。

2つを並べてみます。

天国と地獄(1).jpg

今度は、確かに同じですね。

この「パラダイス・ハワイ」のパレオ柄は、おそらく、
アルフレッド・シャヒーンのパレオ柄が人気だったため、
限りなく似た柄として誕生したのでしょう。
この時代は著作権に対する意識もあまり高くはなく、
他社の人気の柄を平気で真似ていたのでしょう。


それにしても、今回は苦労しました。
同じ柄を探すのって、結構大変なんですよ。
記憶だけを頼りに、「あれかも?」と思って見比べても、
今回のように微妙に違っていたりすることがあるからです。


実は、この話題にはまだ続きがあります。
意外な展開を見せるのです。
(って、連続ドラマみたいですね)

次回もお楽しみに。



(次回に続く)

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