ハワイの新聞記事から その32 1987 アロハシャツの創造者たち(9) [ハワイの新聞記事から]
筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。
現在は、ホノルル・アドヴァタイザー紙の1987年の記事を翻訳中で、
話題はキングスミスのチャン兄妹についてです。
『アロハシャツの創造者たち(9)
文/ロン・ロンク(ホノルル・アドヴァタイザー紙 アート・ライター)
エセルはいまだに多くの織ネームを
スクラップブックの中に保存している。
その織ネームには、「アロハ」という言葉の他に
「スタイルド・イン・ハワイ(ハワイのスタイルで作られた)」、
「クリエイティド・バイ・キングスミス(キングスミスによって創作された)」という
言い回しも記されている。
エセルは言う。
「最初のアロハシャツ用に私たちが使った生地は
ポンジー・シルク(絹紬けんちゅう。訳注:薄地の柞蚕糸で織られた織物。
語源は中国語から)と呼ばれていました。
なぜなら中国で織られたものだからです。
のちにそれは富士絹と呼ばれるようになって
日本の消費者に人気となりました。
第二次世界大戦中、
私たちはその素材を手に入れられなくなったので、
レーヨンに切り替えました。」』
実は、この記事を書いたロン・ロンク氏が見たのと同じストックブック
(正確には、のりで貼る「ストックブック」ではなくフィルムで挟む「アルバム」)を
筆者も見せてもらい、コピーをとらせてもらいました。
それが、こちら ↓ です。
「アロハ」の織ネームの部分をアップにすると、こんな感じ ↓ です。
(筆者コレクションより)
上の記事に
「エセルはいまだに多くの織ネームをスクラップブックの中に保存している」
と書かれていますが、まさにたくさん貼り付けてありました。
さて、今回はかなり重要な発言が出てきます。
「最初のアロハシャツはポンジー・シルクだった」という部分です。
ところが前回の翻訳部分に、
「日本の柄物の浴衣地で作った」という記述がありましたよね?
どちらが正しいのか、ちょっとわかりません。
あるいはどちらも正しい(両方の生地で作った)のかもしれません。
ポンジーというのは、『ファッション用語辞典』によれば
「柞蚕糸を経糸、緯糸に用いて平織にしたもの。
柞蚕糸特有の色は色調が悪いので漂白し黄褐色あるいは褐色にする。
糸に節(ふし)があるため野趣のある織物となる。
さらりとした触感がありドレスやシャツ、カーテン、ふとん地などに用いられる。
もとは中国の山東省で織られた絹織物のことを指していた。絹紬(けんちゅう)のこと。」
だそうです。
https://apparelfashionwiki.com/?cmd=read&page=%E7%B5%B9%E7%B4%AC&word=%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BC
(『ファッション用語辞典』より引用)
シルクと言っても羽二重のように表面がつるりとしているのではなく、
「節がある」のが特徴で、「質があまり良くないシルク」とされていたようです。
1930年代半ばのシルク製アロハシャツはこのポンジーだったと思われます。
そして、もう1か所、
「第二次世界大戦中、私たちはその素材を手に入れられなくなったので、
レーヨンに切り替えました」
という部分も重要です。
レーヨン製のアロハシャツは戦後に出てくると考えられてきましたが、
キングスミスでは戦時中にシルク製からレーヨン製に移行していたというのです。
おそらくほかのメーカーやブランドもそうだったのでしょう。
(次回に続く)
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。
現在は、ホノルル・アドヴァタイザー紙の1987年の記事を翻訳中で、
話題はキングスミスのチャン兄妹についてです。
『アロハシャツの創造者たち(9)
文/ロン・ロンク(ホノルル・アドヴァタイザー紙 アート・ライター)
エセルはいまだに多くの織ネームを
スクラップブックの中に保存している。
その織ネームには、「アロハ」という言葉の他に
「スタイルド・イン・ハワイ(ハワイのスタイルで作られた)」、
「クリエイティド・バイ・キングスミス(キングスミスによって創作された)」という
言い回しも記されている。
エセルは言う。
「最初のアロハシャツ用に私たちが使った生地は
ポンジー・シルク(絹紬けんちゅう。訳注:薄地の柞蚕糸で織られた織物。
語源は中国語から)と呼ばれていました。
なぜなら中国で織られたものだからです。
のちにそれは富士絹と呼ばれるようになって
日本の消費者に人気となりました。
第二次世界大戦中、
私たちはその素材を手に入れられなくなったので、
レーヨンに切り替えました。」』
実は、この記事を書いたロン・ロンク氏が見たのと同じストックブック
(正確には、のりで貼る「ストックブック」ではなくフィルムで挟む「アルバム」)を
筆者も見せてもらい、コピーをとらせてもらいました。
それが、こちら ↓ です。
「アロハ」の織ネームの部分をアップにすると、こんな感じ ↓ です。
(筆者コレクションより)
上の記事に
「エセルはいまだに多くの織ネームをスクラップブックの中に保存している」
と書かれていますが、まさにたくさん貼り付けてありました。
さて、今回はかなり重要な発言が出てきます。
「最初のアロハシャツはポンジー・シルクだった」という部分です。
ところが前回の翻訳部分に、
「日本の柄物の浴衣地で作った」という記述がありましたよね?
どちらが正しいのか、ちょっとわかりません。
あるいはどちらも正しい(両方の生地で作った)のかもしれません。
ポンジーというのは、『ファッション用語辞典』によれば
「柞蚕糸を経糸、緯糸に用いて平織にしたもの。
柞蚕糸特有の色は色調が悪いので漂白し黄褐色あるいは褐色にする。
糸に節(ふし)があるため野趣のある織物となる。
さらりとした触感がありドレスやシャツ、カーテン、ふとん地などに用いられる。
もとは中国の山東省で織られた絹織物のことを指していた。絹紬(けんちゅう)のこと。」
だそうです。
https://apparelfashionwiki.com/?cmd=read&page=%E7%B5%B9%E7%B4%AC&word=%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BC
(『ファッション用語辞典』より引用)
シルクと言っても羽二重のように表面がつるりとしているのではなく、
「節がある」のが特徴で、「質があまり良くないシルク」とされていたようです。
1930年代半ばのシルク製アロハシャツはこのポンジーだったと思われます。
そして、もう1か所、
「第二次世界大戦中、私たちはその素材を手に入れられなくなったので、
レーヨンに切り替えました」
という部分も重要です。
レーヨン製のアロハシャツは戦後に出てくると考えられてきましたが、
キングスミスでは戦時中にシルク製からレーヨン製に移行していたというのです。
おそらくほかのメーカーやブランドもそうだったのでしょう。
(次回に続く)
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