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リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その48 1930年代~1945年の男性服:アロハシャツ(4) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は、「1930年代~1945年の男性服」、
特に「アロハシャツ」について語られています。


『第4章「1930年代~1945年

  男性服:アロハシャツ(4)

 1930年代半ばには、「アロハ」という単語は多くの商品に付けられ、
「アロハ」・ティー・セットや「アロハ」・コースターもあったくらいなので、
この単語がスポーツウェアだけに使われたわけではない。

アロハシャツという単語を広告の中で最初に使ったのは、
1935年6月28日付ホノルル・アドヴァタイザー紙に広告を出した
ムサシヤ・ザ・シャツメーカーである
(訳注:正しくは「ムサシヤ・ショウテン」が出した広告。
「ムサシヤ・ショウテン」をもともと経営していた宮本孝一郎は
 1933年に同店を藤井順一商店に譲渡し、
 自らは「ムサシヤ・ザ・シャツメーカー」という別の店を新たに出した)。

その広告の文面は以下のようなものであった。
「『アロハ』シャツ—美しいデザインと派手な色で、きれいに仕立てられています」』



最初の部分で
「1930年代半ばには、「アロハ」という単語は多くの商品に付けられ、
 「アロハ」・ティー・セットや「アロハ」・コースターもあった」
と説明されていますが、アロハシャツも同様で、
最初に広告に登場したときは「アロハ」シャツと、
引用符が付いた表記がなされていました。

そして「アロハ」・ティー・セットや「アロハ」・コースターが
観光客向けの、ハワイ来島記念の土産物だったことを考えれば、
アロハシャツも同様の位置づけの商品だったことがわかります。

そもそも「アロハ」という言葉には
「ウェルカム(=歓迎)」という意味があるのですが、
1934年にルーズベルト大統領や米国艦隊がハワイに来た際に頻繁に使われていました。

当時の新聞には「アロハ・プレジデント(歓迎・大統領)」や
「アロハ・フリート(歓迎・艦隊)」という文字が躍っており、
(これは想像ですが)町中の垂れ幕にも同じ表現があったことでしょう。

ハワイの人々がこの言葉を幾度となく目にしたことで、
米国本土からやって来た人を歓迎するという意味を込めて、
当時、土産物に冠するのが流行したのではないか?と、
筆者は推測しています
(このような説を唱えている人は筆者の他には知りませんので、
 ある種、異端の説だと思っておいてください)。



「ムサシヤ・ショウテン」と「ムサシヤ・ザ・シャツメーカー」の関係は
上の訳注に書いた通りです。

ちなみに「ムサシヤ・ザ・シャツメーカー」が、ハリウッドスターに
アロハシャツを作ったのが最初という話もあるようです。
この店はオーダーメードのシャツ店なので、
1935年以前に「派手な花柄のシャツ」を作った可能性はもちろんありますが、
「アロハシャツ」とは呼んでいなかったでしょうから、
それをもってアロハシャツを最初に作ったとまでは言えないのではないかと
筆者は考えます。


なお、上の記述に出てくる、ムサシヤ・ショウテンの、最初の「アロハ」シャツ広告は、
(何度かご紹介していますが)このような ↓ ものでした。

ムサシヤ・ショーテン アロハシャツ広告.jpg




(次回に続く)

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