リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その36 1930年代~1945年の衣料品生産(3) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]
元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。
現在は、「1930年代~1945年の衣料品生産」に関する記述をお届けしています。
『第4章「1930年代~1945年
衣料品生産(3)
カメハメハは、1930年代の最も有力な衣料品メーカーであったが、
その市場は、米国本土と、ハワイを訪れる観光客とに依存していた。
カメハメハの有名なアンスリウム柄アロハシャツはもともとは、
1930年代末にロウシルクにプリントされたものであった。
ハーブ・ブライナー氏(訳注:同社創業者/社長)は次のように回想した。
「カメハメハでロウシルクを使ったのは、
そのときが最初で、ほとんど最後でした。
というのも、輸入した生地の品質が安定しなかったからです。」
ロウシルクではプリントの染料が落ちてしまったため、
ブライナーは代替案を探し出してきた。
ほとんど縮まないも同然のペルー産コットンを見つけたのである。
そのコットンは船で日本に運ばれてプリントされ、
その後、ハワイのカメハメハに戻されて服に仕上げられた。
より信頼できる反物へと切り替えたことで、
ハワイのスポーツウェアに用いるプリント生地は
成功裏にスタートしたのである
(著者注:出典は1961年1月のホノルル・アドヴァタイザー紙の記事)。』
今回の記述には、さりげなく重要なことが書かれていました。
「カメハメハの有名なアンスリウム柄アロハシャツはもともとは、
1930年代末にロウシルクにプリントされたものであった」
という部分です。
「有名なアンスリウム柄」というのは、これ ↓ を指すのでしょう。
(https://www.vintage-alohashirt.comより引用)
こちらは、専門書などでよく見かける有名柄で、
抜染によるボーダーパターンです。
洋書『THE HAWAIIAN SHIRT』で「1936年」と記載されていたため、
古着屋さんやコレクターの間では長い間、そのように認識されていたようですが、
実際は、抜染であることと、ボーダーパターンであることから、
おそらく1940年代末頃の製品だと筆者は考えています。
リンダ・アーサー氏も、
「洋書『THE HAWAIIAN SHIRT』はシャツの年代が不正確」と記載しており、
この部分もその一例だと思われます。
さて、この有名柄はもともと「1930年代末」に、
「ロウシルク」にプリントされたものだったという事実は、
筆者も今回初めて知りました。
出典が「1961年1月のホノルル・アドヴァタイザー紙の記事」ということなので、
かなり信頼できる情報だと思います。
このロウシルク・バージョンは「色落ちが激しかった」そうなので、
そのほとんどすべてが不良品として当時捨てられてしまったでしょうから、
現存するものを見つけるのは非常に難しいと思います。
それでも、ぜひ見てみたいものです。
(次回に続く)
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。
現在は、「1930年代~1945年の衣料品生産」に関する記述をお届けしています。
『第4章「1930年代~1945年
衣料品生産(3)
カメハメハは、1930年代の最も有力な衣料品メーカーであったが、
その市場は、米国本土と、ハワイを訪れる観光客とに依存していた。
カメハメハの有名なアンスリウム柄アロハシャツはもともとは、
1930年代末にロウシルクにプリントされたものであった。
ハーブ・ブライナー氏(訳注:同社創業者/社長)は次のように回想した。
「カメハメハでロウシルクを使ったのは、
そのときが最初で、ほとんど最後でした。
というのも、輸入した生地の品質が安定しなかったからです。」
ロウシルクではプリントの染料が落ちてしまったため、
ブライナーは代替案を探し出してきた。
ほとんど縮まないも同然のペルー産コットンを見つけたのである。
そのコットンは船で日本に運ばれてプリントされ、
その後、ハワイのカメハメハに戻されて服に仕上げられた。
より信頼できる反物へと切り替えたことで、
ハワイのスポーツウェアに用いるプリント生地は
成功裏にスタートしたのである
(著者注:出典は1961年1月のホノルル・アドヴァタイザー紙の記事)。』
今回の記述には、さりげなく重要なことが書かれていました。
「カメハメハの有名なアンスリウム柄アロハシャツはもともとは、
1930年代末にロウシルクにプリントされたものであった」
という部分です。
「有名なアンスリウム柄」というのは、これ ↓ を指すのでしょう。
(https://www.vintage-alohashirt.comより引用)
こちらは、専門書などでよく見かける有名柄で、
抜染によるボーダーパターンです。
洋書『THE HAWAIIAN SHIRT』で「1936年」と記載されていたため、
古着屋さんやコレクターの間では長い間、そのように認識されていたようですが、
実際は、抜染であることと、ボーダーパターンであることから、
おそらく1940年代末頃の製品だと筆者は考えています。
リンダ・アーサー氏も、
「洋書『THE HAWAIIAN SHIRT』はシャツの年代が不正確」と記載しており、
この部分もその一例だと思われます。
さて、この有名柄はもともと「1930年代末」に、
「ロウシルク」にプリントされたものだったという事実は、
筆者も今回初めて知りました。
出典が「1961年1月のホノルル・アドヴァタイザー紙の記事」ということなので、
かなり信頼できる情報だと思います。
このロウシルク・バージョンは「色落ちが激しかった」そうなので、
そのほとんどすべてが不良品として当時捨てられてしまったでしょうから、
現存するものを見つけるのは非常に難しいと思います。
それでも、ぜひ見てみたいものです。
(次回に続く)
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