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リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その35 1930年代~1945年の衣料品生産(2) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は、「1930年代~1945年の衣料品生産」に関する記述をお届けしています。



『第4章「1930年代~1945年

  衣料品生産(2)

カメハメハとブランフリートの両社共に、
米国のファッション産業に携わった人物が設立したのであり、
また両社共に、ハワイで生産した衣料品の主要な販路として
ハワイへの観光客と米国本土の消費者を対象にしていた。

一方、ハワイ住民が必要とする衣料品は、
彼らの経済状態を理由に後回しにされた。

というのも、ハワイは、主に下層階級が人口の大半を占めており、
まだプランテーション経済のままであって、
上流階級だけがレジャー用の服を買うことができたからである。

「ハワイの経済は大恐慌に見舞われ、
その後も依然としてプランテーション時代のままでした。

アロハシャツが最初に登場したとき、
それを買えるくらい金銭的な余裕のある人を私は知りませんでした。

もっとも、私の家族は大半の人のように貧乏ではありませんでしたが」と、
ある中国系アメリカ人男性は言った
(著者注:スパーキー・ドゥー氏へのインタビュー。
 /訳注:ドゥー氏はアロハシャツ・メーカー、パイナップル・ジュースの社長)。』



前の記述にあったように、
リンダ・アーサー氏は、
「戦前はハワイの住民はアロハシャツを着ていなかった」という考えのようで、
その理由として、上の記述で
「ハワイは、主に下層階級が人口の大半を占めており、
 上流階級だけがレジャー用の服(=アロハシャツ)を買うことができたから」
と述べています。

また、上の記述によれば、スパーキー・ドゥー氏も、
「金銭的な余裕のないハワイ住民はアロハシャツを買えなかった」
という趣旨の発言をしています。

それに対して筆者の考えは少し異なります。
1930年代半ばにアロハシャツが登場したとき、
「観光客向けのお土産品だった」という部分は同じ意見ですが、
「一部のハワイ住民は1930年代にも着ていたし、
 特に学生などは好んで着ていたのではないか」と筆者は考えています。

少なくともシルク製でなければ、高すぎて買えないというほどではなかったでしょう。

筆者は、金銭的な理由よりも見た目の問題だったと思うのです。
つまり、1930年代という時代を考えると、
ハワイに住む大人の男性が日常で着る服としては少々派手だったから、
着ている人がそれほど多くなかったのではないか、
逆に学生であれば、少々派手なくらいのほうが
かっこよく見えたのではないか、と思うのです。



(次回に続く)

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