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ハワイの衣料品製造業の歴史 その238 1959年 著名な生地デザイナーがハワイを訪れた(4) [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本『ハワイの衣料品製造業の歴史』の翻訳をお届けしています。

現在は、「戦中・戦後編」の章を少しずつ翻訳しているところです。
今回も引き続き、著名生地デザイナーのお話です。



『1959年 著名な生地デザイナーがハワイを訪れた(4)

  ”グランビー女史は今シーズン、帽子に別の羽根を付けている。”

  ”彼女は、普通はシルクに使う染色方法を、初めてコットン・サテン地に使った。”

  ”彼女は1年ほど前に実験を始め、今シーズン、ようやく本調子になった。

  光沢のあるコーマ綿(訳注:細番手高級綿)は、世界中の人にとって、
  高級感のある輸入シルクのようなものなのである。”

  ”アメリカの女性たちは、シルクのような布を愛しており、
  今年これまでのところ、1600万ヤード(訳注:約1463万m)消費している
  (反物として、または出来上がった服として)。

  つまりサテン地を、布地ビジネスの歴史上最も成功した布地にしているのである。” 』



この文章は1959年の新聞記事からの引用ですが、
この当時、コットン・サテンが流行の素材になっていることが語られています。

これはアロハシャツの流行にも関係することなので、
ぜひ注目しておいていただきたいところです。

まさにこの当時、つまり1950年代末から1960年代初頭にかけて、
コットン・サテンのアロハシャツが多く作られたことが
新聞広告からわかっています。

例えばこちら ↓ 。

OBI PRINT 2.jpg

OBI PRINT 3.jpg

(筆者コレクションより)

「OBI PRINT」という名前が付けられている柄ですが、
「polished cotton」=光沢綿、つまりコットン・サテンを使っていることが
説明文に書かれています。

しかも、「帯の古代芸術に触発されて」という説明があります。
これは、前回出てきた「東京で見つけた古い着物の柄」のことではないでしょうか?
そう考えると、この柄は、ジュリア・モリス・グランビーが描いた柄と
言ってもよいのではないでしょうか?

実はこの柄のアロハシャツ、筆者は所有していますので、お見せしましょう。

DSCN5891.JPG

DSCN5893.JPG

DSCN5895.JPG

(筆者コレクションより)

色が褪せてしまっているところが少々残念ですが、
この柄で間違いありません(メーカーも広告と同じ「カハラ」です)。


いや、なんということでしょう!
新聞広告を探していてたまたま見つけてしまいました。
ジュリア・モリス・グランビーが描いた柄が身近にあったので、
自分でも大変驚いています。

この文章は「女物のデザインの話」だと思って読んでいましたが、
そんなことはなかったですね。
がぜん親近感がわいてきました!


(次回に続く)


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