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ハワイの衣料品製造業の歴史 その40 1935~36年 ハワイの衣料品製造産業が使用した輸入素材を宣伝する、地元新聞掲載の広告例(前編) [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本の翻訳が続きます。


前回、「1935年 ハワイならではのファブリック・デザインが地元市場に出回った」
という、教授の考察をご紹介しました。
今回と次回は、その文章に出てきた、「ジャワ・バティック」の具体的な広告例
(1935年分と1936年分)をご紹介します。


 『1935~36年 ハワイの衣料品製造産業が使用した輸入素材を宣伝する、
         地元新聞掲載の広告例(前編)

  ワットムルス・イースト・インディア・ストア
  ホノルル・アドヴァタイザー紙
  1935年5月19日

   ”ジャワ・バティックが新入荷。
  すべて多配色で手染めされたカラフルなプリント。
  水着上下、短パン、ビーチウェアに合わせるバンダナなど
  最新流行のスタイルです。サイズ豊富。”


  ボンベイ・バザール
  ホノルル・アドヴァタイザー紙
  1935年7月9日

   ”ジャワ・バティックが新入荷。メリハリのある美しい色と、
  魅力的に珍しいジャワ・デザインによる手描き。
  洗濯可能で色落ちしにくい保証付き。
  カウチ・カバーや装飾用壁掛けに最適。
  これらの新しいジャワ・バティックを使って、
  水着上下やホールターや短パンやバンダナを作るのもまた人気です。
  ほかに、絹の縮緬の着物、セール価格6.25ドル、
  シルク・プリントのスポーツ・ジャケット、裏地付き、セール価格3.45ドル。”


  ワットムルス・イースト・インディア・ストア
  ホノルル・アドヴァタイザー紙
  1935年7月12日

   ”興味をそそるインドのプリント生地やジャワ・バティック。
  ローシルク1ヤード15セントより。サリー用シルク生地1ヤード50セントより。”


  ボンベイ・バザール
  ホノルル・アドヴァタイザー紙
  1935年7月19日

   ”ジャワ・バティック。新しくて並外れたデザインのジャワ・バティック。
  スポーツ・コートやホールターや水着上下やカウチ・カバーや装飾用壁掛けなどに
  申し分ありません。ご提案のためのウィンドウ・ディスプレーをご覧ください。” 』



 ジャワ・バティックを使った水着の上下
(「ベイジング・スーツ」なので、つなぎのような上下一体型ではなく、
  上下が別になったものだと思われます)が非常に流行っていたようです。

 先日たまたま見た映画『ベニスに死す』の中で、
↓こんな水着の上下(画像左側)を着ていました。
映画『ベニスに死す』.jpg
「ホールターと短パンの上下セットの水着」というのは、
おそらくこんなデザインのもの(柄はボーダーではなくバティック)を指すのでは?
と想像しています。

 さて、ジャワ・バティックが1935~36年に流行したということですが、
これは、ハワイの衣料品の歴史において結構重要なことだと思うのです。
というのも「真正ハワイ柄」が生まれる前の「過渡的なハワイ柄」として、つまり、
どこか異国情緒があって、見ようによっては「なんとなくハワイっぽい柄」として、
すでにあるバティックを、誰かが輸入してみたところ、
「それまでのプリント柄と違って新鮮に見える」としてウケたのだと筆者は考えています。
そして、教授も指摘していたように、そのことが引き金となり、
「いや、より本物のハワイ柄をデザインしようよ」となり、
「真正ハワイ柄」誕生へとつながってゆく「創作熱」を高めたわけです。


次回は広告例の「後編」(1936年分)をご紹介します。


(次回に続く)

 

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