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『ヴィンテージアロハシャツ』17~第二章 アロハシャツのことをもっと知ろう●ヴィンテージ・アロハの価値はここで決まる [枻文庫『ヴィンテージアロハシャツ』]

しばらくは、2005.10.6発売/現在品切れ の拙著 
枻文庫『ヴィンテージアロハシャツ』から、
文章を再録します。

https://www.ei-publishing.co.jp/magazines/detail/lightning-c-401979/

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%8F%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%84-%E3%82%A8%E3%82%A4%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%A7%92%E7%94%B0-%E6%BD%A4/dp/4777903990

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第二章 アロハシャツのことをもっと知ろう
●ヴィンテージ・アロハの価値はここで決まる

 ヴィンテージ・アロハはただ古ければ価値があるというわけじゃない。
多くの人に「欲しいっ!」と思わせるような要素を備えていないと
高く評価されないのだ。それじゃあ、ヴィンテージ・アロハの価値を高める要素って、
一体何なんだろう?
 数ある要素の中で最も重要なのが「レーヨン素材を使っていること」。

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(筆者コレクションより)

これは、誰が決めたというわけでもないのに、
マニアの間では暗黙の前提になっていることだ。
レーヨンという素材は、独特のドレープ感を持ち、発色もいいのが特徴。

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(筆者コレクションより)

しかもほぼ一九三〇~五〇年代にだけ生産されたため、
現存する数も限られている。
そのため、昔から現在までずっと生産されているコットン素材のアロハに比べて
価値があると見なされるわけだ。

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(筆者コレクションより)

 また「抜染であること」も重要。後で詳しく説明するけれど、
抜染というプリント技法を使うと、不思議と柄が浮き上がって見え、
特にトロピカルなモチーフを大胆に配置した柄は、より一層迫力が出てくる。

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(筆者コレクションより)

しかもレーヨンの抜染は
なぜか一九五〇年前後の限られた時代にしか生産されなかったため、
オーバープリント(これも後で詳しく説明)によってプリントされた
レーヨン製のアロハシャツに比べて、稀少性もより高いのである。

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(筆者コレクションより)

 もう一つ重要なのは、当たり前だが、「柄のデザインが優れていること」。
例えば「デューク・カハナモク」ブランドの
「ヤシの木とダイヤモンドヘッドの風景柄」は、
ダイナミックで絵画的な構図が高く評価されており、人気があって価値も高い。

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(The Hana Shirt Co.さんのHPより引用)

 また、デザインが優れていることの結果とも言えるが、
「有名な柄であること」も重要な要素。第一章で取り上げた、
「メニュー柄」や「ランド・オブ・アロハ」、
「デューク・カハナモク」のパイナップル柄なども、有名柄として非常に人気がある。

 それから、デザインの良さとも関係することだが、
「きれいな色が使われていること」、「色同士のハーモニーが美しいこと」、
「色数が多いこと」なども大切な要素だ。

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(The Hana Shirt Co.さんのHPより引用)

 さらに「珍しい柄であること」も重要。
第一章で紹介した「日系二世部隊記念柄」や「第四九州柄」のように
何かの記念に作られた柄や、航空会社柄のように広告的な趣旨で作られた柄などは、
もともとの生産数が少ないため、価値も高い。

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(The Hana Shirt Co.さんのHPより引用)

 そのほか、「ブランドが有名であること」
(シスコの「デューク・カハナモク」はその代表例)や「年代が古いこと」なども、
相対的に価値を高める要素。また当然ながら、「色落ち」、「汚れやシミ」、
「ほつれや穴あき」といった減点要素が少ないものほど価値は高い。

 ヴィンテージ・アロハの価値は、このようなさまざまな要素によって決まるわけだ。
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