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ハワイの新聞記事から その17 1945年 最初のアロハシャツを探す旅(3) [ハワイの新聞記事から]

筆者が収集した、アロハシャツに関するハワイの新聞記事の中から、
面白そうなものをランダムに選び、翻訳してご紹介しています。

現在は、キングスミスについての話題で、
1945年(と思われる)の新聞記事の翻訳になります
(正確な日付は不明です)。


『最初のアロハシャツを探す旅(3)
 文/ローナ・アーレン

(続)これと同じ頃、その商店主は、
著作権で保護されたプリント生地を、
このようなシャツを仕立てる目的で
特別に富士絹で作ってもらい始めた。

しかも彼の妹は賢いデザイナーであり、
彼女こそが、ハワイをモチーフにしたこのような独占柄を生み出すのである。

 新たな発展があったのは、
新しいタイプのシャツがこの同じビジネスマンによって生み出された
ごく最近のことである。

それは、「しっぽ」のないボックスタイプ
(訳者補足:スクエアカット)のシャツであり、
裾をトラウザーの中に入れても出しても着られる。

そのため、もし最新式のアロハシャツのように上品でありたければ、
この新しいスクエアカットのシャツを1枚手に入れなければならない。

そのシャツは非常にお洒落であり、
なおかつこの上なく幸せなくらい快適でもある。

 もちろんそれらは、この1店舗だけで展開されている魅惑的なハワイ柄で
いまも作られている。

 この新しいアロハシャツが買えるかもしれない店、
そしてアロハシャツの重要な発展が起こった店を知りたければ、
ホノルル・アドヴァタイザー紙のローナ・アーレンまで
お電話かお手紙をください。』



まず、
「著作権で保護されたプリント生地を、
 このようなシャツを仕立てる目的で
 特別に富士絹で作ってもらい始めた」
という部分に注目したいと思います。

キングスミスでは、オリジナルの柄の著作権をとっていたということ、
また(全部ではないでしょうが)富士絹のプリント生地を使っていたということ
は目新しい点ではないかと思います。

初期(1930年代後半)のアロハシャツには
シルク製のものが結構あったことはこれまでも知られていましたが、
キングスミスでもシルク製がかなりあったことが確認できました。

富士絹ということは「日本でプリントされ日本から輸入された生地」
ということになります。
まだ日本と戦争になる前なので、それも可能でした。

サンサーフから「TORCH FISHING」という柄(シルク製) ↓ が
かつて発売されましたが、

m28726894864_2.jpg

m28726894864_4.jpg

https://jp.mercari.com/item/m28726894864
(メルカリの出品物より引用)

これのもとになったシャツも、上の記事で触れられている時代、
つまり1930年代末頃の、キングスミスの作品だと推測されます。



また、裾のデザインに関する言及もありますね。
1930年代の後半と言えば、
シャツの裾はまだラウンドカットが主流で、
トラウザーの中に入れて着るのが一般的な時代でした。

そのため、この時期の新聞広告では
スクエアカットのアロハシャツが、
「裾をトラウザーの中に入れても出しても着られる」
といううたい文句と共にかなり頻繁に取り上げられています。
それだけ流行的なデザインだったのでしょう。

上の記述にある
「もし最新式のアロハシャツのように上品でありたければ」
という一節は、そのような意味だと筆者は推測します。


それにしても、キングスミスとかエラリー・チャンとかエセル・チャンといった
固有名詞は一切出て来ない、不思議な記事でした。
わざと情報を出さず、かえって購買意欲を高めるという、
新手の商法(タイアップ記事)のようにも見えてきますね。



この新聞記事の翻訳は今回で終わります。


(次回に続く)

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