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リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その94 1950年代後半の文化的背景(5) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は「1950年代後半の文化的背景」について述べられています。



『第6章「1950年代後半
     :ハイファッションの時代

  文化的背景(5)

(続)
競合、特に西海岸からの競合が問題となり、
ハワイの衣料品メーカーはアロハ服の中に
「メイド・イン・ハワイ」のレーベルを付け始めた。

このキャンペーンは成功し、アロハ服の販売はもう一度上向いた。

最も成功したメーカー、特にシャヒーンとトリ・リチャードは、
会社の利益のためにアロハ服に依存することはなかった。

彼らは、本土向けの衣料品だけでなくヨーロッパ向けの衣料品も
デザインし生産することによって、
よりグローバルなアプローチをとったのである。』



「メイド・イン・ハワイ」のレーベルを付けるようになったのは、
1950年代に入ってからのことであろうと思います。

上の記述に出てくるシャヒーン(シャヒーンズ・オブ・ホノルル)には
2種類の織ネームがあるのですが、
それは、「メイド・イン・ハワイ」の記載がないものと、あるものという
2種類なのです(正確には、表面には「ない」ですが「裏面」に記載があります)。

DSCN1240.JPG

(筆者コレクションより)

こちらは、レーヨン抜染のアロハシャツに付けられた、
1940年代後半頃の織ネームです。
表面には「メイド・イン・ハワイ」の記載がありません。


DSCN6758.JPG

(筆者コレクションより)

一方、こちらは、コットンのアロハシャツに付けられた、
1950年代半ば頃の織ネームです。
「メイド・イン・ハワイ」の記載が目立つ位置にありますね。


ここには、「アロハシャツの本場」で作られた
「本物」であるというメッセージが込められているのです。

当時の人は、西海岸(カリフォルニア)製よりもハワイ製のアロハシャツに
より高い魅力を感じていたようなのです。


例えば、こちら ↓ が、カリフォルニア製の一例になります。

DSCN8123.JPG

(筆者コレクションより)


現在の我々にはちょっと想像するのが難しいですが、
「メイド・イン・ハワイ」という言葉には、
異国情緒の雰囲気が漂っていたのでしょうね。



「1950年代後半の文化的背景」についての記述は今回で終わり、
次回からは「1950年代後半の布地」がテーマになります。
お楽しみに。



(次回に続く)
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