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リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その59 1945年~1950年代半ばの布地(4) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は、「1945年~1950年代半ばの布地」について語られています。


『第5章「1945年~1950年代半ば
     :クラシック・シルキーズ(古典的レーヨン羽二重)

  布地(4)

 先述した厚手のレーヨン生地はシルクのように感じられたため、
1960年代に「シルキーズ」という愛称が付けられた。

このような厚手のレーヨンのアロハシャツは
派手な色ときらびやかなトロピカル柄でデザインされたのであるが、
「ごた混ぜ」柄、すなわち、多彩なモチーフが生地の上に
ランダムに投げ出されたような柄でデザインされることもしばしばだった。

この期間にレーヨンで作られたムームー、サロン・ドレス、アロハシャツは
現在、集める価値が非常に高い。

1940年代半ばに、ハワイのデザイナーたちは、
もはや服用の生地を輸入できないということになると、
プリント生地をハワイで創作し始めた。

カメハメハ社のオーナー、バーブ・ブライナーによれば、
「日本からの輸入品がもはや手に入らなくなった戦争中には、
ハワイでプリントした生地が本領を発揮しました。」
(著者注:1965年刊行のエマ・ファンダバーク著
     『ハワイの衣料品製造産業』より引用)』




筆者がハワイで聞いた話と少し異なる言葉使いがあるので、
まずその部分を補足しておきます。

1970年代に高校生で、サーファーだった人が、
オーシャン・パシフィックで見られるような、
ツルツルした、光沢のあるレーヨン生地のことを
「シルキーズ」と呼んでいた、と教えてくれたことがあります。

s-DSCN3891.jpg

s-DSCN3893.jpg

(筆者コレクションより)


それに対して、リンダ・アーサー氏がシルキーズと呼んでいる生地は、
「第二次世界大戦後に出てきたレーヨン生地」なので、
「レーヨン羽二重」を指していると思われます。

確かに、表題には「クラシック・シルキーズ」とあるので、
「(1970年代の新しい方ではなく)古典的な方の、シルキーズ」という
意味で使っているのかもしれません。

いずれにしても、「クラシック・シルキーズ」という呼び方は
あまり一般的ではないかもしれません
(実際、筆者が業界関係者と話した際に、英語でも「rayon habutae」で通じました)。


また、「ごた混ぜ」柄という意味で「hash prints」という言葉を使っていますが、
日本では「チャップスイ柄」などと呼ばれています
(が、こちらは英語では通じないようです)。

ハワイ的なモチーフを総花的に並べた、このような ↓ 柄のことですね。

s-DSCN0111.jpg

(筆者コレクションより)

柄にテーマ=主題が感じられず、
観光客が喜びそうなハワイ・モチーフを詰め込んだ感じの、
ある種、お土産物っぽさが感じられる、デザイン性があまり高くない柄です。

実際、(ハワイ柄の)アロハシャツ初期にデザインされた柄だと
筆者は推測しています
(柄も、時代と共にこなれてくるので)。




(次回に続く)

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