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ハワイの衣料品製造業の歴史 その281 布地の種類(11) [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本『ハワイの衣料品製造業の歴史』の翻訳をお届けしています。

この章「ハワイで製造される衣料品の種類」では、衣料品のタイプ別に語られており、
現在は「布地の種類」についてまとめた部分をご紹介しています。



『布地の種類(11)

 ウェスタン・アパレル・インダストリー誌1964年12月号に、
「コラトロン社が繊維生産の技術供与を発表」という表題の記事が載った。

その記事は、サンフランシスコのコラトロン社が、
大手繊維工場数社との技術供与契約締結を発表したことと、
同様の案件をそれ以外の繊維工場とも交渉中であることを報じている。

技術供与を受けた繊維工場は、品質制御されたコラトロンの布地を、
認可された衣料品メーカーに、1965年春までには提供するであろう。

約束した多くの改良が行われれば、
例えばセラニーズ社のフォートレルなどのような合成繊維を
開発し完成させることにつながる。

ハワイの衣料品メーカーは将来、衣料品を製造する際に
今(訳注:1965年)よりもたくさんの合成繊維を用いることになるのかもしれない。』




前回のブログに書きましたが、「コラトロン」というのは、
サンフランシスコにあった「コレット・オブ・カリフォルニア」という会社が
1964年に商標登録した素材名で、コットンとポリエステルの混紡素材を指します。

そして上の記述によれば、
このコラトロンを使った服が、1965年春以降に製品化されたと言ってよいでしょう。
(コラトロンを使ったアロハシャツがもし出てくれば、
 1965年以降の製品と言えるでしょう)

また、「セラニーズ社のフォートレル」というのは、
(セラニーズ社が生産した)ポリエステルの商品名であり、
前回出てきた、帝人と東レが生産したポリエステル「テトロン」(これも商品名)と
ほぼ同じものと考えていいでしょう。

例えば、こんな ↓ 服に使われていました。

1_000000001586.jpg

フォートレル.jpg

生地の質感はこんな感じ ↓ です。

7_000000001586.jpg

http://www.furugioroshi.com/shopdetail/000000001586/
(以上 SPEC.CO.,LTDさんのHPより引用)

フォートレル・ポリエステルとコットンとの混紡なので、
シワになりにくいという特性は「コラトロン」と似ているのではないでしょうか?



上の記述の最後の部分には
「ハワイの衣料品メーカーは将来、衣料品を製造する際に
 今(訳注:1965年)よりもたくさんの合成繊維を用いることになるのかもしれない。」
と書かれています。

実際、多くの合成繊維が使われることになりましたし、
アロハシャツに限っても、
ポリエステルやアクリルなどが使われました。

例えばポリエステル(ポリエステル・ニット)はこちら ↓ 。

s-DSCN8819.jpg

DSCN9443.JPG

(筆者コレクションより)


またアクリルはこちら ↓ 。

s-DSCN2671.jpg

DSCN2683.JPG

(筆者コレクションより)


アロハシャツと言えば、レーヨンやコットンが確かに多いですが、
ポリエステルやアクリルのような合成繊維を使ったものも
(1960~70年代には)結構多いのです。




(次回に続く)

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