ハワイの衣料品製造業の歴史 その35 1934年 ハワイの産業が、ホノルル・スターブリトゥン紙ルーズベルト特別版で描写された [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]
ファンダバーク教授の本の翻訳が続きます。
『1934年 ハワイの産業が、ホノルル・スターブリトゥン紙
ルーズベルト特別版で描写された
フランクリン・Ｄ・ルーズベルト大統領とその家族が
1934年7月にハワイを訪れた際、
ホノルル・スターブリトゥン紙の「ルーズベルト特別版」が
1934年7月26日に発行された。
この特別版ではハワイの経済状態に関するさまざまな問題が論じられているが、
「ハワイの産業」セクションの第一面には次のような原稿が登場した。
”工場や店が、ハワイを堅固な産業中心地に変えるのである。
ハワイの主要産品は農業製品であるが、
ハワイは製糖工場を世界の大部分にとっての機械に変えるのである。
単なるテキスタイルを服へと変えるハワイの貿易は着実に成長している。
その他にもモノ作りの会社はたくさんある。
建物の建設を見れば、それが商業的な建物でも家でも、
ハワイの産業が全般的に発展していることがよくわかる。”
「ハワイの産業」セクションには、
「典型的なルアウ（ハワイの宴会）」の写真が1枚掲載されている。
その参加者の中に、現在着られているような
派手なハワイアン衣料は見当たらなかった。
ルアウの客たちはみなレイを首にかけているが、
服装は、その当時本土で着られていたような通常の街着や午後着を着ていた。
同じ「ルーズベルト特別版」の別のセクションには
「ハワイ独自のパラカとセイラー・モク」という題の記事があった。
その記事の一部は次のようなものである。
”ハワイの人々が着ている服の一部、主にパラカとセイラー・モクは、
地元の工場で製造されている。
ちなみにパラカとは、青と白の格子柄の、デニム素材のブラウスのこと、
セイラー・モクとは、ブルーデニムのトラウザーのことである。”
”パラカとセイラー・モクはハワイでポピュラーな服である。
何年も前から、労働者はパラカを着て働いているし、
港湾労働者は埠頭でパラカを着ている。
少年少女は今、パラカとセイラー・モクを着て学校へ行き、遊びに行き、
ピクニックに行き、ハウスパーティにさえ行くのである。”
1934年7月26日付ホノルル・スターブリトゥン紙「ルーズベルト特別版」にはまた、
3つの衣料品製造業者、すなわち、ユニオン・サプライ社、
セイラー・モク・プロダクツ株式会社、ムサシヤ・ザ・シャツメーカーの広告も
掲載されている。』
（1920年代のホテルでのルアウ風景。ハワイ州アーカイブより引用）
まず、ルアウというのは、もともとは現地の人が開いた宴の席のことですが、
それが転じて、ハワイの伝統料理（ポイや豚の丸焼き等）を食べさせる、
観光客向けの食事会のことを指します。
1934年のルアウの写真が新聞に掲載されていたけれども、
「現在着られているような派手なハワイアン衣料は見当たらなかった」と
教授は語っているわけです。
ここは、筆者のアロハシャツ研究の分野でも非常に重要な指摘です。
なぜなら、「アロハシャツがいつ生まれたのか」という問いに対して、
ムサシヤ・ザ・シャツメーカーなどは、1920年代から作っていたようなことを
発言しているのですが、
観光客がアロハシャツを着ている写真が見つからず、
筆者はその点に関して疑問視しているからです。
そして教授も同様に、1934年にはまだアロハシャツは登場していなかった
（少なくとも頻繁に見かけるほどは普及していなかった）と
言いたいのではないでしょうか？
これまで何度も述べてきたように、
筆者は「1935年（または1934年の大統領来島後）にムサシヤ・ショウテン
（またはキングスミス）が観光客向けに売り出した」と考えており、
（ちなみにムサシヤ・ショウテンとムサシヤ・ザ・シャツメーカーは異なる店です）
さらに言えば、「アロハ」シャツという商品名も、
ここで紹介されている「ルーズベルト大統領のハワイ訪問」がきっかけで生まれた、
と考えています。
というのも、ホノルル・スターブリトゥン紙の「ルーズベルト特別版」には
「アロハ・プレジデント」（アロハはハワイ語で「歓迎」の意味）の文字が
何度も登場しており、それをきっかけに「アロハ」という言葉が観光業界で、
一種の流行語になったのではないかと推測しているのです。
ですからアロハシャツは、俗に言われるような「愛のシャツ」という意味ではなく、
ハワイに来た観光客を「歓迎する」ためのシャツというくらいの意味合いだったと
考えているのです。
（次回に続く）
『1934年 ハワイの産業が、ホノルル・スターブリトゥン紙
ルーズベルト特別版で描写された
フランクリン・Ｄ・ルーズベルト大統領とその家族が
1934年7月にハワイを訪れた際、
ホノルル・スターブリトゥン紙の「ルーズベルト特別版」が
1934年7月26日に発行された。
この特別版ではハワイの経済状態に関するさまざまな問題が論じられているが、
「ハワイの産業」セクションの第一面には次のような原稿が登場した。
”工場や店が、ハワイを堅固な産業中心地に変えるのである。
ハワイの主要産品は農業製品であるが、
ハワイは製糖工場を世界の大部分にとっての機械に変えるのである。
単なるテキスタイルを服へと変えるハワイの貿易は着実に成長している。
その他にもモノ作りの会社はたくさんある。
建物の建設を見れば、それが商業的な建物でも家でも、
ハワイの産業が全般的に発展していることがよくわかる。”
「ハワイの産業」セクションには、
「典型的なルアウ（ハワイの宴会）」の写真が1枚掲載されている。
その参加者の中に、現在着られているような
派手なハワイアン衣料は見当たらなかった。
ルアウの客たちはみなレイを首にかけているが、
服装は、その当時本土で着られていたような通常の街着や午後着を着ていた。
同じ「ルーズベルト特別版」の別のセクションには
「ハワイ独自のパラカとセイラー・モク」という題の記事があった。
その記事の一部は次のようなものである。
”ハワイの人々が着ている服の一部、主にパラカとセイラー・モクは、
地元の工場で製造されている。
ちなみにパラカとは、青と白の格子柄の、デニム素材のブラウスのこと、
セイラー・モクとは、ブルーデニムのトラウザーのことである。”
”パラカとセイラー・モクはハワイでポピュラーな服である。
何年も前から、労働者はパラカを着て働いているし、
港湾労働者は埠頭でパラカを着ている。
少年少女は今、パラカとセイラー・モクを着て学校へ行き、遊びに行き、
ピクニックに行き、ハウスパーティにさえ行くのである。”
1934年7月26日付ホノルル・スターブリトゥン紙「ルーズベルト特別版」にはまた、
3つの衣料品製造業者、すなわち、ユニオン・サプライ社、
セイラー・モク・プロダクツ株式会社、ムサシヤ・ザ・シャツメーカーの広告も
掲載されている。』
（1920年代のホテルでのルアウ風景。ハワイ州アーカイブより引用）
まず、ルアウというのは、もともとは現地の人が開いた宴の席のことですが、
それが転じて、ハワイの伝統料理（ポイや豚の丸焼き等）を食べさせる、
観光客向けの食事会のことを指します。
1934年のルアウの写真が新聞に掲載されていたけれども、
「現在着られているような派手なハワイアン衣料は見当たらなかった」と
教授は語っているわけです。
ここは、筆者のアロハシャツ研究の分野でも非常に重要な指摘です。
なぜなら、「アロハシャツがいつ生まれたのか」という問いに対して、
ムサシヤ・ザ・シャツメーカーなどは、1920年代から作っていたようなことを
発言しているのですが、
観光客がアロハシャツを着ている写真が見つからず、
筆者はその点に関して疑問視しているからです。
そして教授も同様に、1934年にはまだアロハシャツは登場していなかった
（少なくとも頻繁に見かけるほどは普及していなかった）と
言いたいのではないでしょうか？
これまで何度も述べてきたように、
筆者は「1935年（または1934年の大統領来島後）にムサシヤ・ショウテン
（またはキングスミス）が観光客向けに売り出した」と考えており、
（ちなみにムサシヤ・ショウテンとムサシヤ・ザ・シャツメーカーは異なる店です）
さらに言えば、「アロハ」シャツという商品名も、
ここで紹介されている「ルーズベルト大統領のハワイ訪問」がきっかけで生まれた、
と考えています。
というのも、ホノルル・スターブリトゥン紙の「ルーズベルト特別版」には
「アロハ・プレジデント」（アロハはハワイ語で「歓迎」の意味）の文字が
何度も登場しており、それをきっかけに「アロハ」という言葉が観光業界で、
一種の流行語になったのではないかと推測しているのです。
ですからアロハシャツは、俗に言われるような「愛のシャツ」という意味ではなく、
ハワイに来た観光客を「歓迎する」ためのシャツというくらいの意味合いだったと
考えているのです。
（次回に続く）
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