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ライトニング別冊ハワイ本~「アロハシャツの歴史」その5 [ライトニング]

2003年3月発行 ライトニング別冊ハワイ本 掲載
「アロハシャツの歴史」その5

(その4から続く)

レーヨンは洗濯によって色あせしやすいため、60年代には主に綿が使われるようになった。
柄はタパやハイビスカスのような単純なものがリバイバル。
リバース・プリントやボタンダウンなど素材感やデザインに変化も。

 レーヨン製のアロハシャツは50年代前半に頂点を極めたと言えるだろう。
色がきれいで柄が独創的で、
生地もレーヨンの羽二重やチリメンという質の高いものを使っていたという意味において。

1316.jpg
(The Hana Shirt co.のHPより引用)

そのため現在、ヴィンテージ・アロハと呼ばれて珍重されているのである。
ところがその繁栄は長くは続かなかった。
50年代後半になると、まずレーヨンの質が下がっていく。
チリメンや羽二重は影を潜め、代わって、コストを抑えるためか、
ゴワつきのある安価なレーヨンを使ったシャツが増えるのだ。
ただそれでもまだ柄自体には美しいものが多かった。
しかし60年代に入ると、レーヨンのアロハシャツは、
売値を安くするために、プリントだけでなく縫製まで日本で行った
「メイド・イン・ジャパン」のものが増えていく。
このタイプではペニーズのものが有名だが、それはまだクオリティの高い方だ。
別の日本製シャツの中には、
日本でのプリントの工賃が上がりコストを下げようとしたためか
色数を少なくしたものや、
また安く抑えるためかあるいは単に技術レベルが下がったためか、
型彫りの質が下がり、柄が繊細でないものが多く見られる。

156.jpg
(筆者コレクションより)

柄自体も以前のものを焼き直ししただけのような、独創性の乏しいものが増えていった。

 いやそのようなクオリティの低下よりもはるかに重要なのは、
60年代に入るとレーヨンが急速に使われなくなり、
それに代わってほとんどが綿地で作られたという事実だ。

PICT0173.JPG
(筆者コレクションより)

レーヨンという素材は柔らかな素材感と鮮やかな発色が特長なのだが、
洗濯に弱く、色があせやすいという欠点を持ち、それが人々に嫌われたのだ。
(次回に続く)
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