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リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その102 1950年代後半の衣料品生産(3) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は、「1950年代後半の衣料品生産」について語られています。



『第6章「1950年代後半
     :ハイファッションの時代

  衣料品生産(3)

 戦後、(訳者補足:ハワイの)衣料品販売額は、
1961年までおよそ年30%の割合で増加した。

シャヒーンやトリ・リチャードのようなメーカーが製造した、
洗練されたリゾート・ウェアは、衣料品産業を、
ハワイで3番目に大きい輸出産業へと押し上げた。

モート・フェルドマンとその妻ジャニスは、
彼らの2人の子供の名前にちなんで会社名を
(トリ・リチャードと)名付けた。

トリ・リチャードは1956年に設立されたのだが、
1973年にシャツを作り始めるまでは、
その衣料品の大半を女性に向けて作っていた。(続)』



かつて筆者も、モート・フェルドマン(正式にはモーティマー・R・フェルドマン)を
取材したことがあり、それを『定本ハワイアンシャツ』にまとめました。

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その文章からいくつかの情報を抜き出してみます。

まず、トリ・リチャードの社名の由来は
(上の文章では2人の子供の名前とありますが、具体的には)、
ヴィクトリア(の「トリ」)と、リチャードから来ています
(それで思い出したのですが、話が少し逸れますが、
 キロハナの、チャールズ・コウジ・ナカノも、自分の2人の子供の名前から
 「リチャード・ダグラス」というブランドを立ち上げたそうです)。


また、彼らの高級婦人服は、1960年代にサックス・フィフス・アヴェニューなどの
高級百貨店で販売されて、広く知られるようになったと言います。
そして紳士用の服を始めたのは、(筆者が聞いた話では上の文章とは異なり)
「1960年代初頭」だということでした。

トリ・リチャードは、1956年に創業したけれど、
アロハシャツを作らなかったがゆえに
いわゆるヴィンテージ・アロハシャツが存在しないという珍しいメーカーです。
ヘンなこだわりは持たず、初期から男性向けシャツを作っていればよかったのにと
筆者などは少々残念に思ってしまいます。

筆者は1枚だけ、1960年代製だと思われるトリ・リチャードのシャツを
所有しています。
それは(手元に画像はありませんが)、幾何学模様の柄で、
とてもアロハシャツとは言えそうもありませんが、
なぜか「古銭ボタン」(1950年代から60年代に主に使われていました)が
付いています。
素材はコットンで、襟は短い袋とじで、襟芯が入っており、
袖付けと両サイドの縫製はロックという作りです。
それらを総合的に見て筆者は1960年代製と判断しています。
つまり、リンダ・アーサー氏の記述に反して、
1960年代からトリ・リチャードはシャツを作っていたということになります。

今度機会があれば、画像をお見せしますね。



(次回に続く)

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