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黒澤明監督の映画「天国と地獄」のアロハシャツが意外にも・・・ [映画やテレビで見かけたアロハシャツ]

ファンダバーク教授の本『ハワイの衣料品製造業の歴史』の翻訳は、
「布地の種類」についてまとめた部分がちょうど終わってきりがいいため、
翻訳ではないシリーズ「映画やテレビで見かけたアロハシャツ」をお届けしています。

前回は、黒澤明監督の映画「天国と地獄」(1963年(昭和38年)3月公開)に出てくる
コットン・サテンのパレオ柄を取り上げました。

https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/archive/20210205

ご紹介したアロハシャツは、こちら ↓ です。

s-DSCN2772.jpg

そしてこのシャツが「意外な展開を見せるのです。」と
もったいぶった言い方で終わりましたね。
失礼いたしました。

どういうことかと言いますと、
これとまったく同じ柄が、ほかの映画にも出ているのです。

それが、こちら ↓ です。

s-DSCN9840.jpg

どんなシーンかと言いますと・・・。

DSCN9839.JPG

このブログをずっと読んでくださっている方ならピンときましたよね?

そうです、以前にもご紹介した「社長外遊記」です。
ホノルルにあるお店でフランキー堺と小林桂樹が話をしているシーンですが、
その後ろで買い物をしている現地の男性が、このアロハシャツを着ていたのです。

この映画の公開は、くしくも「天国と地獄」と同じ1963年(昭和38年)の、
1カ月遅れの4月なのです。
ということは、撮影はやはり前年の1962年で、
出てくるアロハシャツも1962年(もしくはそれ以前)に作られたものと
考えてよいでしょう。

ウィキペディアで、両者の情報を眺めていて、はたと気付きました。
どちらも東宝の映画です。
しかも美術監督は、「天国と地獄」が村木与四郎、「社長外遊記」が村木忍、
と書かれています。

むむ。どちらも「村木」?

ウィキペディアによれば、村木忍は、村木与四郎の妻だそうです。なるほど。

ということは、こうは考えられませんか?
「社長外遊記」の撮影でハワイに行った村木忍が、
現地でいろいろなアロハシャツを買って日本に持ち帰り、
その中にあったパレオ柄のアロハシャツを、
夫である村木与四郎が「天国と地獄」で使ったと。
(厳密には、美術監督の下には衣装担当がいるでしょうから、
 実際に選んだのは村木忍ではないかもしれませんが、
 ハワイでアロハシャツを買ってきたとしたら、
 「あら、ちょうどいい感じのアロハシャツが倉庫にあるわよ」と
 夫に教えたとしても不思議ではありません)


さて、「天国と地獄」はモノクロ映画なので、アロハシャツの色まではわかりません。
もしかしたら「社長外遊記」と同一のアロハシャツかも!
と思って、2つを比較してみました。
それが、こちら ↓ 。

s-DSCN9828(1).jpg

残念ながら、同一のアロハシャツではありませんでした。
が、「社長外遊記」の撮影後に日本に持ち込まれた、
色違いのパレオ柄という可能性はまだあると、筆者は考えます。


いかがでしたでしょうか?
大胆すぎる仮説ですが、いい線行ってると思いませんか?



(次回に続く)

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