SSブログ

リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』その113 1950年代後半の男性服(2) [リンダ・アーサー著『20世紀のアロハ服』]

元ハワイ大学教授のリンダ・アーサー氏が書いた
『20世紀のアロハ服』という本の翻訳をお届けしています。

現在は「1950年代後半の男性服」について語られています。



『第6章「1950年代後半
     :ハイファッションの時代

  男性服(2)

 保守的な1960年代前半がやってきて、
ある新しいメーカー、すなわちレインズが、
ビジネス・シャツのニーズを満たすようになった。

レイン・マッカラーは、ハワイに移り住む前、
カリフォルニアに紳士服店を所有していた。

1959年にはメンズ・ショップを開き、
その後ルース・スプーナーと連携して、
ボタンダウンのツーピースカラー
(訳注:台襟と襟の2つのパーツからなる襟)を備えた
コットン100%の生地でプレッピー・スタイルの
アロハシャツをデザインした。

マッカラーは、アロハシャツに十分な威厳を持たせ、
地元の顧客たちがカジュアルな夜にそのようなシャツを着て
出かけられるようにしたことで、
ハワイ市場での隙間領域を切り開いたのである。』



上の文章について、何点か補足しておきます。

まず「ある新しいメーカー、すなわちレインズ」とありますが、
この部分は正確には、「レイン・スプーナー」です。

レインズ、正式にはレインズ・メンズウェアは、
レイン・マッカラーが、カリフォルニアのサンタカタリナ島に開いていた
紳士服店(創業は1949年)の名前であり、
その後ハワイに移住して1959年にアラモアナ・ショッピングセンター内に開いた、
同名の紳士服店だからです。

「最初はその店で、ルース・スプーナーの手を借りてシャツを作っていた」とも
言われていますが、正確にはよくわかりません。
この点について筆者は、別な想像をしています。
アラモアナSCの店舗内にそれほど広いスペースがあったとは思えないので、
その店の中ではなく、別の場所、
例えばスプーナーの店があったワイキキなどで作っていたのではないかと
思うのですが、もちろん確証はありません。


さて、そのあとの部分に出てくる、
「ボタンダウンのツーピースカラーを備えたコットン100%の生地で
 プレッピー・スタイルのアロハシャツをデザインした」
という部分についてです。

ツーピースカラーというのは、このような ↓ 2つのピースのことです。

ツーピースカラー.jpg

https://www.youtube.com/watch?v=4s_ks9d9YQA より引用)

こちら ↓ にレイン・スプーナーのアロハシャツがありますので、
実際の作りを見てみましょう。

i-img1200x1200-1626775473enge4933137.jpg

この部分 ↓ が、台襟の前の部分「前台襟」です。

台襟.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u441521791


それ以前のアロハシャツには、この台襟がなく、
身頃に直接襟が付いた構造でした。
開襟だったからです。
それに対して、アイビー・スタイルの紳士服店を営んでいたレイン・マッカラーは、
ドレスシャツの構造を持ったアロハシャツを作ったわけです。
これなら、ジャケットの中に着ても襟がきれいに見えますよね。

このようなドレスタイプ(ビジネス仕様)のアロハシャツを
レイン・マッカラーが発明したかどうかは確証がありませんが、
少なくともそれを広めた功績はあると筆者は考えています。

前回の翻訳部分で、イオラニが、
胸のワンポイントのアロハシャツを作ってビジネス界で流行させたとありましたが、
その功績と同じくらい、あるいはそれより大きい功績が、
アロハシャツの歴史の中で、あると思うのです。



(次回に続く)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ファッション

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。