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ハワイの衣料品製造業の歴史 その194 1950年 ハワイのテキスタイル・デザイン(14) [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本『ハワイの衣料品製造業の歴史』の翻訳をお届けしています。

現在は、「戦中・戦後編」の章を少しずつ翻訳しているところです。
今回も、「ハワイのテキスタイル・デザイン」の話題が続いています。



『1950年 ハワイのテキスタイル・デザイン(14)

  ヘレン・デヘイヴンが1959年9月1日付ホノルル・スターブリトゥン紙に
 ある記事を書いた。以下の文章はその一部である。

   ”ハワイのファッションに関するボキャブラリーの中で、
   「プリント」という単語ほど頻繁に聞かれるものはない。”

   ”ハワイの衣料品産業やファッション産業を有名にする手助けをしてきたのは、
   ハワイ製衣料品に使われる、しばしば、けばけばしく、鮮やかな色合いの、
   異国情緒あふれるプリント生地である。”

   ”プリント生地は、ハワイのデザイナーやメーカーにとって、
   絶対的に根幹をなすものである。

   当のプリントについて知らなければ、
   彼らはビジネス上の決定を下すことができないのである。”

   ”何百種類ものプリント柄があり、
   その多くは、4つないし5つの配色違いがある。

   そしてそれぞれの柄には名前がある。

   その多くは、古い民間伝承や昔のデザインを苦労して探索し、
   それをもとに描かれてきた。”

   ”プリント柄の中には独占的なものがいくつかある。

   それはつまり、そのプリント柄を所有する会社が製造する服以外では
   その柄を見かけないということである。”

   ”独占柄以外は、どのメーカーも普通に使える柄である。”

   ”ハワイのメーカーは、本土、ヨーロッパ、東洋出身の
   プリント・デザイナーを雇っている。”



(アロハシャツを含む)ハワイ製の衣料品が有名になったのは、
派手なプリント柄があったからだ、という意見には全く同意します。

ハワイ柄は独特であり、人々を魅了します。

「プリント柄は何百種類もある」と述べられていますが、
実際には、何千種類、何万種類もあることでしょう。

筆者は何十年も見てきていますが、いまだに初めて見たヴィンテージ柄に遭遇します。
本当は限りがあるのでしょうが、無限に存在するような気さえしてきます。

無限に存在するから、それを探索し続ける面白さと、
未知の柄を発見した時の喜びがある、とも言えるのですが。

また、「それぞれの柄には、4つないし5つの配色違いがある」とも述べられています。
かつて取材したアルフレッド・シャヒーン氏は、
「1つの柄につき配色違いが3つある」と語っていました。
筆者も、これまで見てきた経験から、1柄3つくらいの配色が普通で、
ロングセラーとなった柄には新しい配色を追加してリニューアルし、
結果的に、4つも5つも6つも7つも配色違いが生まれたのではないかと思います。

例えば、「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(55)」
https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/2020-08-07-3
でご紹介した、この柄 ↓ 

m_i-img1200x1200-1596533668vliyif2129794.jpg

などは、ここにあるだけで4配色あり、ほかにも1配色見かけたことがあるので、
最低でも5配色はあることになります。
また、ランドオブアロハなども、配色が多いことで知られていますね。

このような「配色違い探し」をいったん始めてしまうと、
無限に収集しなくてはならなくなり、ますます収集が止まらなくなってしまいます。



それと、独占柄の話についても少しふれておきます。
カメハメハ・ガーメントやシャヒーンズなどは、
生地の耳に会社名や柄名が入った独占柄をときどき見かけます。

例えば、こちら ↓ 。

カメハメハ・プリンツ.jpg

アルフレッドシャヒーンズ 耳字.jpg

(2点共筆者コレクションより)

ただし、メーカーによって扱いが微妙に異なります。

カメハメハは自社のプリント柄は自社の製品にしか使わなかった
(と思われる)一方、シャヒーンズは、生地の卸もしていたようなので、
他社の製品にもシャヒーンズのプリント柄が使われているということがしばしばあります。

つまり上の文章で
「そのプリント柄を所有する会社が製造する服以外では
 その柄を見かけないということである」
と書かれている部分は、実際は少し違っていて、
各社が何を売って儲けようとしているか、製品なのか生地なのか、のスタンスの違いが、
プリント生地の扱いの違いを生んでいると言えそうなのです。


今回はこの辺で。



(次回に続く)


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