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ハワイの衣料品製造業の歴史 その46 1935年 ハワイ製のスポーツ・シャツに「アロハ」の名を付けた [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本の翻訳が続きます。



いつも当ブログをお読みくださり、ありがとうございます。
また、その1からその45まで、だらだらと続く内容に、
飽きることなくお付き合いくださり、ありがとうございます。

ハワイ大学のファンダバーク教授が記した『ハワイの衣料品製造業の歴史』という本を
長い時間をかけて翻訳してきましたが、
ようやく今回、アロハシャツの話題に突入いたします。
これまでの45回は、ここに至る背景の説明でした。
書いているほうも長かったです。
暗闇が続いて、先が見えない感じ、とでも言いましょうか。

アロハシャツ好きの方、お待たせしました。
ここから俄然面白くなってきますので、今後にご期待ください。



 『1935年 ハワイ製のスポーツ・シャツに「アロハ」の名を付けた

   1935年6月28日、ホノルル・アドヴァタイザー紙に載った
  ムサシヤ・ショウテンの広告に次のような文言が現れた。

   ”ホノルルの有名シャツメーカー兼着物店。
   上手な仕立てと美しいデザイン、まばゆい色の「アロハ」シャツ。
   既製またはオーダーメイドで95セントより。”

   147217416113346530177_0Aloha_shirts2.jpg

  同じ広告が1935年7月5日付ホノルル・アドヴァタイザー紙にも現れた。
  ムサシヤ・ショウテン株式会社の広告は、
  同年3月14日にはまだ「アロハ」の文字は使っていなかった。
  3月14日付ホノルル・アドヴァタイザー紙に載った同社の広告には
  次のような言葉が使われていた。

   ”ホノルルの有名シャツメーカー兼着物店。
   高級素材と量り売りの布地もございます。”

  したがって、1935年半ばが、
  ハワイ製のスポーツ・シャツにアロハという単語を付けたおそらく最初だった。
  観光客が増え、合衆国海軍が頻繁に寄港するようになった1935年と1936年に、
  ハワイのお土産品に対する需要の高まりがあった。
  「アロハ」という単語は、多くの広告、製品、会社名に冠して使われた。
  1936年に、ある会社は「アロハ」ティーセットを広告し、
  別の会社は「アロハ」コースターや「アロハ」アルバムを広告している。
  「アロハ」という単語が多くの種類の製品に付けられるようになった
  1935年と1936年には、シャツやスポーツウェアにこの単語を付けるのは
  特に珍しいことではなかったのである。』

ムサシヤリミテッド 2.jpg
ムサシヤリミテッド 1.jpg
(black_cobra0721さんのヤフオク出品物より引用。1950年代前半頃のものと推測)

 この「最初の広告」については、筆者が執筆した
『定本ハワイアンシャツ』や『ヴィンテージ・アロハシャツ』などに
何度も取り上げているので、ご存じの方も多いことでしょう。

 それ以外に、今回は非常に重要な点がいくつも指摘されています。

1)1935年半ばが、ハワイ製のスポーツ・シャツにアロハという単語を付けた
  おそらく最初だった。
2)観光客が増え、合衆国海軍が頻繁に寄港するようになった1935年と1936年に、
  ハワイのお土産品に対する需要の高まりがあった。
3)「アロハ」という単語は、多くの広告、製品、会社名に冠して使われた。
  1935年と1936年には、シャツやスポーツウェアにこの単語を付けるのは
  特に珍しいことではなかった。

特に1)に関して少し触れておきたいと思います。
ここで教授も「おそらく」と留保しているように、確実なことはわかりません。
教授の考察にないため、ここからは筆者の推測となりますが、筆者は、
「早ければ1934年後半に「アロハシャツ」という名前が出てきていた可能性もある」
と考えています(もちろん、証拠はないため、可能性の話です)。

以前にも述べたように、1934年半ばに、ルーズベルト大統領がハワイを訪れ、
熱狂的に迎えられています。新聞にも特集が組まれ、
その紙面では、歓迎を意味する「アロハ」という言葉が盛んに使われています。
そこから、観光客向けのさまざまなお土産品に
「アロハ」の文字を付けるのが流行したのではないか?
(上の文章にあるように「アロハ」コースターや「アロハ」アルバムなど)
そのような流行の中で一部のスポーツシャツ(観光客向けの南国的な派手なシャツ)を
「アロハシャツ」と名付けたのではないか?
と筆者は考えているわけです。
最初は、お店のポップ(のようなもの)やウィンドーディスプレーの文字などで
ホノルルのダウンタウンのどこかの店で、限定的に使われていたかもしれません。
例えば「ハワイでは、お客様を歓迎するという意味で「アロハ」と言います。
”アロハ”シャツが、ハワイにいらしたあなたを”歓迎”しています。
ハワイ来島の記念に1着いかがですか?」
というふうな具合です。想像はどんどん膨らみます。
「自然発生的に、誰かが使うようになった言葉のため、
はっきりとした起源をさかのぼるのが難しい」と筆者は考えています。


アロハシャツという言葉が、こんなに広まるとは、
当時の人はだれも思っていなかったでしょうね。


(次回に続く)


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