SSブログ

ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(96)シルクの和柄(後) [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

今回も、前回に引き続き、
週末恒例の「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けしています。

お題は「シルクの和柄」で、今回はその後編となります。

前回のブログ(前編)は https://vintage-aloha-shirt.blog.ss-blog.jp/2021-04-17

前回、「最初期のシルクの和柄のアロハシャツは、どんなものだったか
はっきりとはわからないけれど、
(サンサーフが復刻しているアロハ・ブランドのような)
『花柄の着物柄』に近かったのではないだろうか」
という筆者の考えを述べました。

そして戦争中は、日本からの生地の輸入が途絶えたことで一旦なくなりましたが、
戦後の1940年代末になって再び出てきて、
それが50年代初頭くらいまで続いたと考えています
(サンフランシスコ平和条約が発効したのが1952年ですが、
 日本からの輸入は、実はその少し前から始まっていたようで、
 筆者が新聞広告で見つけた中では、1950年のシルクの和柄のアロハシャツが
 最も早いものでした)。


今回探したのは、この時期の「シルクの和柄」です。

まず最初に見つけたのはこちら ↓ です。

i-img1200x900-1618387229uf8ywz50710.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b534177199

ブランドは「ロイヤル・ハワイアン」で、
ボタンは竹ボタンを使っています。
柄は、富士山と桜の花と兜と梅の花という豪華な取り合わせです。

富士山が出てくる柄は、比較的早い時期(1950年とか51年)に多いように思います
(あくまでも、筆者が新聞広告を分析した結果ですが)。


続いてご紹介するのはこちら ↓ です。

i-img640x480-1617936253hujmed7835.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p841680023

織ネームは「カハラ×マキナニー」のダブルネームで、
ボタンはココナッツボタンです。
目の覚めるような鮮やかな朱色地に大きな宝船と、
山水画のようなモノトーンの山並みが配されています。

宝船が出てくる柄も、比較的早い時期(1950年頃)に多いように思います
(これまた、あくまでも、筆者が新聞広告を分析した結果ですが)。


そしてこちら ↓ 。

1.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b332522801

織ネームは欠損していますが、「カハラ」製だと思います
(マキナニーやリバティハウスの織ネームの可能性もありますが)。
ボタンはココナッツボタンです。
松に覆いつくされた平安貴族の柄です。

源氏物語絵巻の一場面のようにも見えますが、
源氏物語絵巻では「雲」で覆われていました
(この雲には、「同一画面内で複数のシーンを共存させ、
 シーンからシーンへと自然な形で遷移させるような効果」があるそうです)。
この柄の「松」は、そのような「雲」を置き換えたもののように思われます。
なかなかに凝った柄なのですね。


以上の3つが、絵柄的に美しい、1950年頃の「シルクの和柄」でした。

このあと、1950年代半ばにいったん廃れると述べましたが、
それは、「シルクのハワイ柄(トロピカル柄)」に移行するためで
(同じ時期に壁縮緬も洋柄化します)、
その流行が収まった「1950年代末」に再び「シルクの和柄」が出てきます。

ただしこの時期のシルクの和柄は「非常に地味」になります
(その時代が、派手なものを嫌っていたのでしょうか?)。
茶系や黄土系の地味な色の地に、小さいモチーフが並べられているのが特徴です。

ヤフオク出品物を探してみましたが、それらしいものが見つからなかったので、
筆者所有の1枚をお見せします。こちらです。

s-DSCN5909.jpg

(筆者コレクションより)

ブランドは「ホオカノ」で、ボタンは古銭ボタンになります。
小さな生け花がたくさん並んだ不思議な柄で、
「アロハシャツ」と呼ぶのがややはばかられますね。
1950年代後半、推測としては1957年とか58年頃の製品でしょうか?

そのあと、1960年代初頭頃の製品と思われるのが、こちら ↓ です。

i-img674x1200-158677041157lz8x25587.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b464330636

ブランドは「カネボウ」、ボタンは貝ボタンになります。


同じ頃(1950年代末頃)から、シルクに似た質感ながら、より安価な
「コットンサテン」の生地が出回るようになり、
「コットンサテンの和柄」へと移行していくことになります
(それと共に「シルクの和柄」は消えていったのでしょう)。

「コットンサテンの和柄」は例えばこちら ↓ になります。

20200701_2241355.jpg

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p777808192

織ネームは「マキナニー」、ボタンは古銭ボタンです
(説明文には「コットンシルク」と書かれていますが、シルクは入っていません)。
茶道具の柄というところが、雰囲気的に、上の生け花柄に似ており、
また柄も少し凝っているところから、
1950年代末の製品(コットンサテンとしては初期)のようにも思えます。


「シルクの和柄」にも、時代によっていろいろなタイプがあることが
お判りいただけたでしょうか?



それでは今回はこの辺で。
次回をお楽しみに。



(次回に続く)

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:ファッション

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。