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ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(95)シルクの和柄(前) [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]

今回は週末なので、翻訳はお休みして、
週末恒例の「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けします。

今回は「シルクの和柄」をご紹介します。

以前、「本物のアロハシャツはシルク製なんですよね?」と訊かれたことがあります。
「アロハシャツは着古した着物をバラして作られた」という話が
広く浸透しているためでしょうか、
「昔のアロハシャツ=シルク」と思っている人が多いのではないでしょうか?

いまでこそ、シルクのアロハシャツも、
「アヴァンティ」のようにかなりポピュラーですが、
昔はそれほど一般的ではありませんでした。
また「最初のアロハシャツ」がシルク製だったのかも、
記録が残っていないため実はよくわからないのです。

筆者は「アロハシャツは着古した着物をバラして作られた」という説ではなく、
「ハワイを訪れた観光客向けの土産物として作られた」という説に立っているため、
「最初のアロハシャツ」
(一般にはムサシヤ・ショーテンで1935年6月に売られたとされています)は、
「シルクもあれば壁縮緬もあればコットンもあった」と考えています。

こちら ↓ は1935年6月の、最初のアロハシャツの新聞広告です。

ムサシヤ・ショーテン アロハシャツ広告.jpg

(筆者コレクションより)

ここには素材も柄も書かれていないですし、イラストや写真もないのですが、
素材は、価格の安いコットン(浴衣地など)が多く
(上の広告で書かれている最低価格の「95セント」の品はコットン製でしょう)、
高価なシルクや壁縮緬も一部あり、
また柄については、おそらく「和柄」(=着物柄)であっただろうと
筆者は考えています。

現在翻訳しているリンダ・アーサー氏の本でも、
先日の「1930年代~1945年の布地」という箇所で、初期のアロハシャツについて
「最も一般的なのは、青または黒を背景に人物や植物が描かれた、
 日本の浴衣地のような、軽いコットン地であった」とか
「シルクや壁縮緬を使った着物地・・・で作られていた。」
と書かれていました。

日本とのつながりが深かった、1930年代半ばのハワイという土地であれば、
日本からプリント生地がたくさん輸入されていたでしょうし、
またハワイ柄はまだ誕生していなかったことも考え合わせるなら、
初期のアロハシャツの生地のほとんどは、日本製の着物柄の生地だったと
言ってもよいのではないかと筆者は考えています。


話が長くなってしまいましたが、繰り返しますと、
「シルクの和柄のアロハシャツ」は、最初期からあったけれど、
現物がほとんど残っていないため、
どのような柄だったかはあまりよくわかっていないのです。

それに対して、「壁縮緬の和柄のアロハシャツ」は、
例えば、サンサーフが復刻した、「アロハ」ブランドのこちら ↓ 

サンサーフ アロハブランド.jpg

(ヤフオクの過去の出品物より引用)

や、サンサーフの今年の新作である、こちら ↓ 

キモノデザイン.jpg

(サンサーフのカタログより引用)

のような、花柄の着物柄であっただろうことはわかっています。
「シルクの和柄のアロハシャツ」も似たような柄だったかもしれません。


そしてその後の歴史的な流れについて言えば、
戦争中は、日本からの生地の輸入が途絶えたことで一旦なくなったこと、
戦後になって再び出てきた(1940年代末~50年代初頭)こと、
さらに1950年代半ばには再びなくなったけれど、
1950年代末~60年代初頭に、趣向を変えて再び出てきたこと、
などが挙げられると思います。


今回は前編として、基本的な情報をまとめてみました。
次回は後編として、ヤフオクで「シルクの和柄のアロハシャツ」を探して
ご紹介しようと思います。


次回をお楽しみに。



(次回に続く)

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