ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ(80) [ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ]
週末なので、いつもご紹介している翻訳はお休みして、
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けすることにします。
この企画、約1か月ぶりです。
今回はやや趣向を変えてみました。
ヤフオク出品物をいろいろご紹介するのではなく、
「あるヤフオク出品物をとっかかりにして、その柄を研究する」
という風にしたいと思います。
今日も最後までお付き合いください。
今回ご紹介するのはこちら。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n449094376
以前にも1度ご紹介しているかもしれませんね。
パリハワイアンスタイルの有名な柄になります。
ボタンはシェルミーボタンを使っています。
このシャツの織ネームではパリハワイアンスタイル「ド」と、
最後が「ed」になっている、珍しいタイプですが、
パリハワイアンスタイルの1商品になります
(ドが付いているものといないものの違いはよく分かりません)。
「アウトリガーカヌー」が浜辺に置かれており、
荒波の海が広がり、ヒョロ長のヤシの木が伸びており、
遠くにはダイヤモンドヘッドが見える、という、
いかにも南国にありそうな風景となっております。
この柄は、筆者の推測では「1950年代末から60年代初頭」にかけて作られたもので、
当時結構な人気を博したと思われます。
人気だったと推測する理由は、比較的よく見かけるからです。
筆者も色違いを所有しています。こちら ↓ です。
(筆者コレクションより)
織ネームは「パリハワイアン」までは読めるのですが、
その下がほつれていて、スタイルなのかスタイルドなのかは
残念ながらわかりません。
さて、ここからが今日の本題です。
この柄には、さまざまなバリエーションがあるのです。
まずはこちら ↓ 。
(筆者コレクションより)
「ハイビスカス」が「茅葺屋根の家とサーフボード」に変わっています。
そのほかはほぼ一緒で、柄のタッチや版の彫りこみ方なども共通していますし、
生地も似たようなレーヨンです。
一方、異なる点は、まず織ネームは「パリハワイアンスタイル」となっていて
「ド」が付いていません。
またボタンは竹ボタン(上のものはシェルミーボタン)を使っています。
年代は上のものと同様で、「1950年代末から60年代初頭」にかけて作られたものだと
筆者は考えます。
そしてもう1つ、似た柄がヤフオクに出品されています。それがこちら ↓ 。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/q402238543
ブランドはハレハワイで、
ボタンは竹ボタン、生地はレーヨン縮緬を使用しています。
「アウトリガーカヌー」が浜辺に置かれており、
荒波の海が広がり、ヒョロ長のヤシの木が伸びていて、
遠くにはダイヤモンドヘッドが見える、という構成(構図)は同じですが、
2本のヤシの間隔が異なり(こちらは間が狭いです)、
間にハイビスカスや茅葺屋根の家がありません。
そして、何より違うのは、版の彫りこみ方です。
わかりやすいのがヤシの木の葉の細かさなので、両者を比べてみましょう。
左がハイビスカスや茅葺屋根の家がある方、右がない方になります。
左のほうが彫りこみが甘く、右のほうが彫りこみが細かいと思いませんか?
ハレハワイのもの(ヤシの葉が細かい方)はレーヨン壁縮緬を使っていることからも、
年代はやや古く、「1950年代半ば」のものだと筆者は考えます
(使っている色数も多いように思います)。
つまり、高吹勇がハワイから京都に渡り、アロハ貿易を始めてすぐの頃のものが
上のハレハワイのものであり
(同じころに作られたのが、同じハレハワイの「ランドオブアロハ」)、
その後(おそらくこの柄が結構人気があり自社でも売れると考えたため、
あるいは制作を依頼してきたハレハワイでの販売と契約が終了したため)
その版を利用して、やや簡略化したパリハワイアンスタイルのものを
作ったのではないかと(根拠はなくやや大胆な推測ですが)筆者は考えています。
(パリハワイアンスタイルは、娘婿のクラランス・ハラがカリフォルニアで営んでいた
「ミスター・ハワイ社」のブランドだったので、
一種の「自社ブランド」だと言えるかもしれません)
さらに、もう1つ、このようなもの ↓ もあります。
(筆者コレクションより)
ブランドは「ワイキキ・スポーツ」で、竹ボタンとレーヨン壁縮緬が使われています。
柄は、上のハレハワイのものとほとんど同じ(の色違い)なのですが、
こちらには「夕日」が付け加えられているところだけが違います。
これはどう考えたらいいのでしょうか?
筆者の推測は以下のようなものです。
「アロハ貿易に制作を依頼したのはどちらも同じハレハワイだが、
小売店であるワイキキ・スポーツは、ハレハワイの正規品とは
少しだけ異なる別注品(夕日ありバージョン)を依頼した」
ハレハワイにはほかにも、
同じ風景柄なのに「滝のあるバージョン」と「ないバージョン」があったりするので、
各ショップ向けの差別化をいろいろやっていたのではないでしょうか?
(次回に続く)
「ヤフオクで見かけたヴィンテージアロハシャツ」をお届けすることにします。
この企画、約1か月ぶりです。
今回はやや趣向を変えてみました。
ヤフオク出品物をいろいろご紹介するのではなく、
「あるヤフオク出品物をとっかかりにして、その柄を研究する」
という風にしたいと思います。
今日も最後までお付き合いください。
今回ご紹介するのはこちら。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n449094376
以前にも1度ご紹介しているかもしれませんね。
パリハワイアンスタイルの有名な柄になります。
ボタンはシェルミーボタンを使っています。
このシャツの織ネームではパリハワイアンスタイル「ド」と、
最後が「ed」になっている、珍しいタイプですが、
パリハワイアンスタイルの1商品になります
(ドが付いているものといないものの違いはよく分かりません)。
「アウトリガーカヌー」が浜辺に置かれており、
荒波の海が広がり、ヒョロ長のヤシの木が伸びており、
遠くにはダイヤモンドヘッドが見える、という、
いかにも南国にありそうな風景となっております。
この柄は、筆者の推測では「1950年代末から60年代初頭」にかけて作られたもので、
当時結構な人気を博したと思われます。
人気だったと推測する理由は、比較的よく見かけるからです。
筆者も色違いを所有しています。こちら ↓ です。
(筆者コレクションより)
織ネームは「パリハワイアン」までは読めるのですが、
その下がほつれていて、スタイルなのかスタイルドなのかは
残念ながらわかりません。
さて、ここからが今日の本題です。
この柄には、さまざまなバリエーションがあるのです。
まずはこちら ↓ 。
(筆者コレクションより)
「ハイビスカス」が「茅葺屋根の家とサーフボード」に変わっています。
そのほかはほぼ一緒で、柄のタッチや版の彫りこみ方なども共通していますし、
生地も似たようなレーヨンです。
一方、異なる点は、まず織ネームは「パリハワイアンスタイル」となっていて
「ド」が付いていません。
またボタンは竹ボタン(上のものはシェルミーボタン)を使っています。
年代は上のものと同様で、「1950年代末から60年代初頭」にかけて作られたものだと
筆者は考えます。
そしてもう1つ、似た柄がヤフオクに出品されています。それがこちら ↓ 。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/q402238543
ブランドはハレハワイで、
ボタンは竹ボタン、生地はレーヨン縮緬を使用しています。
「アウトリガーカヌー」が浜辺に置かれており、
荒波の海が広がり、ヒョロ長のヤシの木が伸びていて、
遠くにはダイヤモンドヘッドが見える、という構成(構図)は同じですが、
2本のヤシの間隔が異なり(こちらは間が狭いです)、
間にハイビスカスや茅葺屋根の家がありません。
そして、何より違うのは、版の彫りこみ方です。
わかりやすいのがヤシの木の葉の細かさなので、両者を比べてみましょう。
左がハイビスカスや茅葺屋根の家がある方、右がない方になります。
左のほうが彫りこみが甘く、右のほうが彫りこみが細かいと思いませんか?
ハレハワイのもの(ヤシの葉が細かい方)はレーヨン壁縮緬を使っていることからも、
年代はやや古く、「1950年代半ば」のものだと筆者は考えます
(使っている色数も多いように思います)。
つまり、高吹勇がハワイから京都に渡り、アロハ貿易を始めてすぐの頃のものが
上のハレハワイのものであり
(同じころに作られたのが、同じハレハワイの「ランドオブアロハ」)、
その後(おそらくこの柄が結構人気があり自社でも売れると考えたため、
あるいは制作を依頼してきたハレハワイでの販売と契約が終了したため)
その版を利用して、やや簡略化したパリハワイアンスタイルのものを
作ったのではないかと(根拠はなくやや大胆な推測ですが)筆者は考えています。
(パリハワイアンスタイルは、娘婿のクラランス・ハラがカリフォルニアで営んでいた
「ミスター・ハワイ社」のブランドだったので、
一種の「自社ブランド」だと言えるかもしれません)
さらに、もう1つ、このようなもの ↓ もあります。
(筆者コレクションより)
ブランドは「ワイキキ・スポーツ」で、竹ボタンとレーヨン壁縮緬が使われています。
柄は、上のハレハワイのものとほとんど同じ(の色違い)なのですが、
こちらには「夕日」が付け加えられているところだけが違います。
これはどう考えたらいいのでしょうか?
筆者の推測は以下のようなものです。
「アロハ貿易に制作を依頼したのはどちらも同じハレハワイだが、
小売店であるワイキキ・スポーツは、ハレハワイの正規品とは
少しだけ異なる別注品(夕日ありバージョン)を依頼した」
ハレハワイにはほかにも、
同じ風景柄なのに「滝のあるバージョン」と「ないバージョン」があったりするので、
各ショップ向けの差別化をいろいろやっていたのではないでしょうか?
(次回に続く)
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