五島美術館「至高の陶芸」展に行っていろいろ勉強になりました [イベント]
突然ですが、いつもご紹介している翻訳はお休みして
(週末でもありませんが)、
本日は別の話題をアップします。
上野毛の五島美術館で開催中の「至高の陶芸」展に行って、
いろいろと勉強になり、興味が広がったので、
そのことに関して書きたいと思います。
「五島美術館の収蔵品からやきものの優品約60点を選び展観」という展覧会なのですが、
面白かったのは、第2展示室のほう。
「館蔵の染織コレクションも同時公開」されていたのです。
「更紗の魅力」と題したミニ展示だったのですが、
これが陶芸とどう関係するかを説明します。
美術品クラスの貴重な茶碗は
オーダーメードでぴったりのサイズであつらえた袋に包んで保管するようなのですが、
その袋を「仕覆」(しふく)と呼び、古い更紗で作られたものが多いようなのです。
そのような仕覆を並べ、陶芸展の付随展示として見せていたという次第です。
五島美術館には渋谷玉恵さんという方のコレクションが寄贈されていて、
その中に、古いインド更紗の端切れを貼り付けた
見本帳のようなもの(これを「手鑑」=てかがみと読む=と呼びます)があり、
それが展示されていたのです。
撮影できないため、手元に画像がありませんが、↓ こんな感じです。
(拡大したため画像が荒いです。ごめんなさい)
この更紗が、ヴィンテージで、いい感じなのです。
*「更紗」とは、木綿に草花・鳥獣・人物などの文様を、
型や手描きによって染めた布のことです。
特に、18世紀初期までに舶載されたインド製更紗の一群を「古渡り更紗」といいます。
ヤフオクにも古い更紗の出品がありましたので、参考にご紹介しておきます。
ヴィンテージならではの質感はよくわかると思います。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b505926753
そんなわけで、「古渡り更紗」に興味のある方は、
ぜひ五島美術館で実物をご覧ください。
で、「古渡り更紗」をいろいろ見て、ヴィンテージ・アロハシャツを思い出した、
というのが今回の本題になります。
ファンダバーク教授の本の中にも、ちょうど先日ご紹介した部分に、
インドを旅行したエルシー・ダースが、インドの布に感銘を受けた、とか、
マイロン・ヴァン・ブラントがジャワ・バティックをアメリカに紹介した、
といった記述がありました。
アロハシャツの中には、和柄だけでなく、
アジアの布から影響を受けたものが少なからず存在するのです。
まず、「渋谷玉恵コレクション」の中に、
うちわや扇子をあしらった古渡り更紗があり、
それを見て、こちら ↓ を思い出しました。
(筆者コレクションより)
シャヒーンの扇子柄ですね。シャヒーンにはうちわ柄もあります。
アジアに目を向けた柄が結構多いです。
また、インド更紗の柄を、日本の風景と組み合わせた不思議な柄がこちら ↓ 。
(筆者コレクションより)
また、このようなもの ↓ もあります 。
(筆者コレクションより)
これもインド更紗風ですよね。
それから、こんなもの ↓ も。
(筆者コレクションより)
一方、インド更紗というよりは、ペルシア風とも思われる柄がこちら ↓。
(筆者コレクションより)
なぜ、テキスタイル・デザイナーたちは、アロハシャツの柄に、
アジアの柄を持ってきたのかは実はよくわかりません。
ただ、本土から来たアメリカ人観光客にとっては、
ハワイが、アジア系住民が多い、異国情緒あふれる場所だったから、
アジア的な柄をハワイ的な柄として、アロハシャツにしたとも考えられます。
これまで筆者は、和柄以外のアジア柄は、異端のアロハシャツとして
あまり注目してきませんでしたが、
五島美術館の更紗コレクションを見て、再評価してみようと思ったのでした。
そして、
そのものずばり「茶道具」柄のアロハがいくつかあります。
(ともに筆者コレクションより)
こんな生地を使って、茶道具の仕覆を作ったら面白いだろうな、と
ちょっと思ったりしたのでした。
(実際は、大切なヴィンテージアロハをバラしたりはしませんが)
(次回に続く)
(週末でもありませんが)、
本日は別の話題をアップします。
上野毛の五島美術館で開催中の「至高の陶芸」展に行って、
いろいろと勉強になり、興味が広がったので、
そのことに関して書きたいと思います。
「五島美術館の収蔵品からやきものの優品約60点を選び展観」という展覧会なのですが、
面白かったのは、第2展示室のほう。
「館蔵の染織コレクションも同時公開」されていたのです。
「更紗の魅力」と題したミニ展示だったのですが、
これが陶芸とどう関係するかを説明します。
美術品クラスの貴重な茶碗は
オーダーメードでぴったりのサイズであつらえた袋に包んで保管するようなのですが、
その袋を「仕覆」(しふく)と呼び、古い更紗で作られたものが多いようなのです。
そのような仕覆を並べ、陶芸展の付随展示として見せていたという次第です。
五島美術館には渋谷玉恵さんという方のコレクションが寄贈されていて、
その中に、古いインド更紗の端切れを貼り付けた
見本帳のようなもの(これを「手鑑」=てかがみと読む=と呼びます)があり、
それが展示されていたのです。
撮影できないため、手元に画像がありませんが、↓ こんな感じです。
(拡大したため画像が荒いです。ごめんなさい)
この更紗が、ヴィンテージで、いい感じなのです。
*「更紗」とは、木綿に草花・鳥獣・人物などの文様を、
型や手描きによって染めた布のことです。
特に、18世紀初期までに舶載されたインド製更紗の一群を「古渡り更紗」といいます。
ヤフオクにも古い更紗の出品がありましたので、参考にご紹介しておきます。
ヴィンテージならではの質感はよくわかると思います。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b505926753
そんなわけで、「古渡り更紗」に興味のある方は、
ぜひ五島美術館で実物をご覧ください。
で、「古渡り更紗」をいろいろ見て、ヴィンテージ・アロハシャツを思い出した、
というのが今回の本題になります。
ファンダバーク教授の本の中にも、ちょうど先日ご紹介した部分に、
インドを旅行したエルシー・ダースが、インドの布に感銘を受けた、とか、
マイロン・ヴァン・ブラントがジャワ・バティックをアメリカに紹介した、
といった記述がありました。
アロハシャツの中には、和柄だけでなく、
アジアの布から影響を受けたものが少なからず存在するのです。
まず、「渋谷玉恵コレクション」の中に、
うちわや扇子をあしらった古渡り更紗があり、
それを見て、こちら ↓ を思い出しました。
(筆者コレクションより)
シャヒーンの扇子柄ですね。シャヒーンにはうちわ柄もあります。
アジアに目を向けた柄が結構多いです。
また、インド更紗の柄を、日本の風景と組み合わせた不思議な柄がこちら ↓ 。
(筆者コレクションより)
また、このようなもの ↓ もあります 。
(筆者コレクションより)
これもインド更紗風ですよね。
それから、こんなもの ↓ も。
(筆者コレクションより)
一方、インド更紗というよりは、ペルシア風とも思われる柄がこちら ↓。
(筆者コレクションより)
なぜ、テキスタイル・デザイナーたちは、アロハシャツの柄に、
アジアの柄を持ってきたのかは実はよくわかりません。
ただ、本土から来たアメリカ人観光客にとっては、
ハワイが、アジア系住民が多い、異国情緒あふれる場所だったから、
アジア的な柄をハワイ的な柄として、アロハシャツにしたとも考えられます。
これまで筆者は、和柄以外のアジア柄は、異端のアロハシャツとして
あまり注目してきませんでしたが、
五島美術館の更紗コレクションを見て、再評価してみようと思ったのでした。
そして、
そのものずばり「茶道具」柄のアロハがいくつかあります。
(ともに筆者コレクションより)
こんな生地を使って、茶道具の仕覆を作ったら面白いだろうな、と
ちょっと思ったりしたのでした。
(実際は、大切なヴィンテージアロハをバラしたりはしませんが)
(次回に続く)
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