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ハワイの衣料品製造業の歴史 その61 1936年 オアフ島の衣料品製造業者 [ファンダバーク著ハワイの衣料品製造業]

ファンダバーク教授の本の翻訳が続きます。



 『1936年 オアフ島の衣料品製造業者

  1936年10月にホノルル商工会議所は「オアフ島における、
 ビジネス、政府、教育、専門活動の職種別企業名鑑」を出版した。
 この名鑑の「製造業者--衣料品」の項目には11社の社名と本社住所が記載されている。
 それらをリストにしたものは以下の通り。

  チャンピオン・セールス・ファクターズ(リー・キン・シャック、社長)、
    ヌウアヌ通り1134番地
  チュ・F・フォング、ノース・キング通り646番地
  ホノルル・エクスポート社(C・W・ヤング、ルイス・ソー)、クイーン通り
  カメハメハ・ガーメント製造社(ハーバート・ブライナー、支配人)、
    サウス・ベレタニア通り800番地B
  リンズ・アーミー・アンド・ネイビー・ストア(レスター・リン)、
    イウィレイ通り977番地
  リビングストン・W・I、サウス・クイーン通り177番地
  ミッド・パシフィック・ドレス製造社(W・H・セリグソン)、
    マーチャント通り232番地
  オアフ・ガーメント社(ルー・ヨーク、ホン・チョン)、
    ノース・キング通り78番地
  サーヴィス・センター(G・W・ピカリング)、
    サウス・ホテル通り170番地
  ユニオン・サプライ社(リイチロウ・フルヤ、社長)、
    ノース・キング通り1164番地
  ウォングス・プロダクツ(ロバート・ウォング、支配人)、
    ノース・キング通り1706番地

  上の衣料品製造業者のうち1社だけが、
 1936年のハワイアン・プロダクツ・ショーの出展者のリストに載っていた。
 それは、チャンピオン・セールス・ファクターズである。
  同じ名鑑には、衣料品生産者がリストになっている別の項目があった。
 それは「シャツ」である。そのリストに含まれる情報は以下の通り。

  ブランフリート、ノース・キング通り1706番地
  セントラル・テーラー(B・フルミゾ)、ワヒアワ
  フジ・テーラー・アンド・シャツメーカー、アイエア
  カネシロ、サブロウ、ノース・ヴァインヤード通り433番地
  キング・スミス・クロージャー、ノース・キング通り36-38番地
  リンズ・アーミー・アンド・ネイビー・ストア、イウィレイ通り977番地
  モリサコ、シズヨ、リリハ通り1319番地
  ムサシヤ・ザ・シャツメーカー、サウス・キング通り191番地
  オザワ、ミサヨ、ノース・ベレタニア通り142番地
  サキモト、ジツヨ、ノース・ヴァインヤード通り467番地
  タマネ・K、ノース・キング通り449番地
  ウチダ・シャツメーカー、ウチダ、カメゾウ、ノース・ベレタニア通り72番地
  ウエダ、フミコ、ディリンガム通り1488番地
  ヤマトヤ(シゲモリ・オモカワ)、ノース・ベレタニア通り24番地
  ヤマトヤ、G(ゲンキチ・ワタナベ)、リバー通り1063番地

  「デザイナー」の項目には3つの名前がリストになっており、
 その中に「レヴィンソン・ドレス・デザイナーズ(ウィリアム・I・レヴィンソン)、
 ディリンガム・アネックス25番地」が含まれていた。
 ちなみに同じ名鑑のリストには、
 275のテーラーと360のドレスメーカーが載っていた。』



 アロハシャツの歴史という観点からは、筆者はまず、
カメハメハとブランフリート(カハラ)に注目します。
1936年時点で、前者は「衣料品製造業者」、後者は「シャツ製造業者」という、
自分たちが目指している方向性の違いが表れているように思います。

 そして、以前「ブランフリートはウォングス・プロダクツに生産を委託している」
という記述がありましたが、
どうやら、単なる生産委託というよりも、同じ場所に会社を構え
(ただし、別の資料ではブランフリートの住所が「1704番地」つまり隣となっており、
 隣に会社を構えていたかもしれません)、
全面的に依存している関係のように見えてきます。

 それ以外では、リンズ・アーミー・アンド・ネイビー・ストアと
モリサコ、シズヨにも触れておきます。

リンズは、「ウチが最初にアロハシャツを作った」という発言もしている、
ムサシヤ・ザ・シャツメーカーと同様のオーダーメードのシャツ店の老舗です。
マトソン号でやってきた本土の金持ち観光客やハリウッド俳優・女優なども立ち寄り、
シャツをあつらえていたようで、
確かにアロハシャツ的なものを早い時期から作っていてもおかしくはないでしょう。
戦後にはワイキキにも支店を出し、そちらは女性物の店だったようです。

リンズ 織ネーム.jpg
リンズ シャツ.jpg
(ヤフオクの出品物を引用。1950年頃のリンズ製アロハ)


もう1つのモリサコ・シズヨは、個人的に注目しているお店です。
広告などもほとんど出していない(というか、一度も見たことがない)ので、
ほとんど誰も知らない超マイナーなシャツ店です。

もともとは、このシズヨさんがシャツを仕立てていた小さな店でしたが、
夫も作るようになり、夫の名前モリサコ・シュンシカでシャツを作るようになりました
(確証はありませんが、筆者はそのように推測しています)。
夫の名前は「森迫春鹿」といいます。

そのようなわけで、ごくごくまれにビンテージアロハを見かけることがあり、
筆者も1枚だけ持っております(が、画像はありません)。
「S.MORISAKO HONOLULU (エンジ色の扇のマークに「S.M.」の文字)」という、
四角い織ネームで、「兜、鯉、松、太鼓、家紋」の和柄です。
今度機会があれば、画像をお見せします。


(次回に続く)

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